2017 Fiscal Year Annual Research Report
広告における表情が商品の印象や選択に与える影響についての国際比較研究
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17H07140
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 望 琉球大学, 大学評価IRマネジメントセンター, 特命助教 (10805964)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 表情 / 広告 / モデルの魅力 / 性別 / 商品の好ましさ |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、広告に魅力的なモデルを用いることは、購買行動を間接的に促進する効果があるとして戦略的に行われてきた。先行研究から身体や顔の造形の魅力と消費者の広告の評価の関係については明らかとなっているが、魅力の評価に影響を及ぼす重要な要因である表情が広告の評価に与える影響は十分に検討されているとは言えない。そこで本研究課題は、魅力に大きく関わる表情に注目し、それが商品の評価や選択にいかなる役割を果たすかについて、特に国際比較という視点から実験心理学的に明らかにすることを目指すものである。本研究課題の目的を達成するために、刺激や手続きが厳密に統制された複数の心理学実験を設定した。 平成29年度(1年目)においては、本研究課題のトピックである表情認知、マーケティング、消費者行動の心理に関する書籍および論文雑誌から情報を収集・整理した。また、広告の表情が商品の評価に与える影響について日本人を対象とした評価実験を実施することで検討した。具体的には、約60名の日本人女子大学生に対して、個別に衣服モデルの画像を1枚ずつ見せ、その衣服の好ましさについて1(まったく好きではない)から9(非常に好き)の9件法にて評定を求めた。画像は、インターネット通信販売に掲載されている画像を加工したもので、12名のモデル(男女同数)の無表情と喜び表情画像を用いた。分析では、無表情時の評定値をベースラインとして、喜び表情時の衣服に対する好ましさの印象が、モデルの性別でどのように変化するかについて検討した。結果については、イギリス人を対象としたBian et al.(2015)の結果と比較し、日本とイギリスの両文化の表情や魅力の認知の文化的差異の観点から議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の所属先の変更により新たな研究環境の整備に時間を要したことから、当初予定していた人数の実験参加者を期間内に集めることが困難であった。しかしながら、分析に足るデータを収集することができたため、「おおむね順調に進展している」とする。また、本研究成果の報告に向けて調整・準備が進められていることから、こちらについても「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度(最終年度)に実施する実験では、平成29年度に実施した実験と同様の手続きを用いるが、刺激に関しては、表情の種類を明示的な独立変数として系統的に操作したものを用いる。本実験および初年次に実施した実験の結果をまとめ、モデルや対象者の性別の要因および文化的差異の要因について考慮された商品の購買行動を促進する広告について議論する。以上の結果については、最終報告として学術論文にまとめて投稿し、社会に発信する。
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