2017 Fiscal Year Annual Research Report
KLF5遺伝子発現制御機構の解析:上皮恒常性維持に関わる新たな分子的背景の解明
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17H07147
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
冨山 希美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00803264)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | KLF5 / 口腔癌 / 上皮恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kruppel-like factor(KLF)5は上皮組織の恒常性維持に働き、口腔癌等の上皮性疾患で過剰発現する。KLF5の発現は上皮細胞分化とともに停止するが、そのメカニズムは全くの不明である。これまでに申請者はヒトKLF5遺伝子の発現に不可欠な最小必要領域(minimal essential region、MER)とそれに直接関与する転写因子がSp3であることを明らかにした。また、その研究の過程で、KLF5遺伝子から遠位にあるDNA領域にKLF5発現を抑制するサイレンサー領域が存在する可能性を示唆するデータを得ている。 そこで、ヒトKLF5遺伝子発現を抑制するサイレンサー領域を同定するために、-1,577より上流の動物種間で高く保存されている領域を様々な長さでレポーターアッセイ用のルシフェラーゼ遺伝子プラスミドにクローニングした。口腔癌細胞を含む様々な種類の細胞株に導入してレポーターアッセイを行った結果、サイレンサー領域が-2.001~-1.577であることが明らかになった。その領域のDNA塩基配列を複数のデータベースを用いて転写抑制因子結合配列を解析したところ、結合が予想される転写抑制因子はCEBPA、CEBPB、CREB、p53、p63であった。予想された転写抑制因子の各種siRNAならびにcDNAを導入し内在性KLF5発現解析を行った結果、p63、CREBで発現上昇ならびに減少が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り、ヒトKLF5遺伝子の-1.577より上流の動物種間で高く保存された領域をレポーターアッセイにて解析したところ、サイレンサー領域と結合が予想される転写抑制因子を同定した。 今後は、サイレンサー領域へ結合が予想される各種転写抑制因子のサイレンサー領域への結合と結合配列の解析ならびにサイレンサーによるKLF5発現抑制機構の解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、p63、CREBの各種特異抗体を用いたChIPによる解析で、サイレンサー領域への結合の有無を確認する。その後、結合配列に変異を導入しその影響を解析し、その解析で疑われた転写抑制因子/サイレンサー領域とSp3/MERとの結合の解析などのKLF5発現抑制機構の解析も行う予定である。
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