2017 Fiscal Year Annual Research Report
Qualitative Empirical Research on Formulation of High Schools Resisting Exclusion
Project/Area Number |
17H07149
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二羽 泰子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (20802507)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 高校における多様な生徒の共学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、中学校までつながりを選択してきた障害児たちとの関わりのあった中学校教員と、障害児の進学の選択肢になりうる高校教員の聞き取りから、学力とつながりの取捨選択をめぐって、障害児と健常児がそれぞれいかなる進路選択を迫られていくのかについて明らかにしてきた。点数の取れない障害児は、小学校段階で障害児教育の能力別トラックに入らなかったとしても、高校レベルでは多くの場合、当事者の意思や選択にかかわらず、つながりを捨て、つながりを通して得られた潜在能力も捨てざるを得ない結果となっていた。一方、点数さえ取れれば、障害があっても高校のトラッキングにおいて上位に食い込むことが可能であった。 健常児の場合は、通常学力を元に受験しトラックが決まってくるが、障害のある仲間など社会的に排除されやすい仲間とつながるために、つながりを選択する運動が生起したケースがあった。しかし、目的が障害のある子どもとつながることであったにも関わらず、結果としては障害のある仲間だけがつながる選択肢を剥奪されていた。 障害のある子どもの場合、通常は小学校段階から別のトラックに配分されるために、高校レベルで生起する一般教育の学力トラックとの関連に言及した先行研究は、筆者の調査ではほとんど見られない。しかしながら、同じ社会で共生していくためには、早期から障害児がつながりを絶たれ、別のトラックで一生を終えることは望ましいことではない。高校以上の進路をめぐるトラッキングの現実と、障害児の置かれた現実を明らかにすることによって、共生に向けての示唆が得られるはずである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査校3校のうち2校について、聞き取りを予定していた関係者の病気・多忙・学校側の都合等により、予定していた調査が実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在の教育改革や時代の変化に対応しようとする3校の取り組みを見ることによって、今後どこへ向かおうとしているのかを明らかにしていきたい。また聞き取りのできていないいくつかの項目について補足的調査を行っていく。
|
Research Products
(1 results)