2017 Fiscal Year Annual Research Report
モデル予測制御に基づく先制型の仮想モバイルネットワークの資源最適化の研究
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17H07156
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
塩本 公平 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (00535750)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | モバイル / 人流 / 予測 / モデル予測制御 / パターンマイニング / 時空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
モバイル網の資源割当制御へ適用することを目的として、人流・交通流の時空間移動の予測モデルの構築とその推定法に取り組んだ。時空間移動の予測モデルを構築する際に、個々の移動体のこれまでの軌道データを基に将来の予測を行い予測結果を重畳することで、各エリアの移動体数の分布を予測する方法を検討した。具体的にはGPSにより得られる移動体の軌道データを空間的および時間的に離散化させPrefixSpan アルゴリズムを応用して移動予測する方法を提案した。個々の移動体の振る舞いが正確にモデル化できれば、精度良く予測できることが期待されるが、個々の移動体の振る舞いがどの程度正確にモデル化できるかを明らかにするため、時間軸と空間軸を離散化して、モバイル網のリソース割当制御に適した粒度で軌道パターンのマイニングを行う方法を検討し、北京地域の人流の公開データを用いて評価した。 時間粒度を空間粒度を離散化するエリアの大きさを10km四方とし離散化する時間間隔を10、15、30、60分の4パターンで評価した。時間粒度が細かくなるにつれ、頻出軌道パターン数が増加していること、また、時間粒度を離散化する時間間隔を30分とし空間粒度を離散化するエリアの大きさを1、3、5、10km四方の4 パターンで評価した。空間粒度が細かくなるにつれ、頻出軌道パターン数は増加することを確認した。 当初H30年度に予定していたモデル予測制御によるモバイル資源割当について検討着手した。エリア毎に割り当てるCPUとメモリの資源量を各エリア毎の人口分布の予測を用いながら、予測誤差に対してロバストとなるようにモデル予測制御を取り入れた制御方法を考案し、ビジネス、住宅地、ターミナルの3つの人口の時間変動パターンのエリアが混在するモデルを用いて予備実験を行い、モデル予測制御の制御パラメータの適正値の見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPSにより得られる移動体の軌道データを空間的および時間的に離散化させ移動予測する方法を提案した。具体的には以下の手順からなる。(1)個々の移動体の軌道データを測定する。(2)測定した多量の軌道データを集めてPrefixSpanアルゴリズムにより頻出パターンを抽出する。(3)予測したい移動体のこれまでの軌道データが最も近い頻出パターンをもとに将来の軌道を予測する。(4)個々の移動体の軌道データを集合してエリア毎の人口分布を予測する。 時間軸と空間軸を離散化することでモバイル網のリソース割当制御に適した粒度で軌道データから頻出パターンのマイニングを行う。頻出パターンの予測を行う際に、頻出パターン数と頻出パターンによりカバーされる人流のバリエーションが重要である。そこで、時間粒度と空間粒度と頻出パターン数の関係を評価した。 マイクロソフト社が公開している北京地域の人流のGPSデータを用いて時間軸と空間軸のそれぞれの離散粒度と頻出パターン数の関係を明らかにした。空間粒度が細かくなるにつれ、頻出軌道パターン数が増加していること、また、空間粒度が細かくなるにつれ、頻出軌道パターン数は増加することを確認した。 また、当初H30年度に予定していたモデル予測制御によるモバイル資源割当についても検討を進めた。エリア毎に割り当てるCPUとメモリの資源量を各エリア毎の人口分布の予測を用いながら、予測誤差に対してロバストとなるようにモデル予測制御を取り入れた制御方法を検討した。ビジネス、住宅地、ターミナルの3つの人口の時間変動パターンのエリアが混在するトイモデルを用いて予備実験を行い、一回の制御で割り当てる資源の変更量を抑えることで予測誤差に対してロバストな制御ができる見通しを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
頻出パターンの予測を行う際に、頻出パターン数と頻出パターンによりカバーされる人流のバリエーションが重要であると考えたため、今年度は、時間粒度と空間粒度と頻出パターン数の関係を評価した。今後は、今年度の検討を踏まえて、頻出パターンによる人流軌道の予測を行う予定である。 予測に関しては、対象ユーザのそれまでの軌道と頻出パターンの類似度を評価するスコア値を計算し、直近のN ステップに滞在したエリアが最も一致するものが最も高いスコア値になるようにスコア値の関数を設計する。対象ユーザと頻出パターンそれぞれについて、現時点からNステップ遡った時に滞在していた各エリア同士の距離の合計が最も小さくなるようにスコアを計算し、スコア値が最も良い頻出パターンを用いて人流軌道を予測する。 今年度の検討においては、時間粒度と空間粒度と頻出パターン数の関係を評価するにあたり、PrefixSpanアルゴリズムの計算時間が長大化することが課題として顕在化した。また、時間粒度が細かくなるにつれ、頻出軌道パターン数が増加していることを確認したが、頻出軌道パターン数は増加していても、頻出軌道パターンの経路の長さが極端に短いものが考慮されてしまっていることが判明した。このため移動予測を行う際に有効な頻出軌道パターン数が少なくなることが懸念される。これらの課題を解決しながら、予測アルゴリズムの検討を進める。 また、モデル予測制御によるモバイル資源割当については予備実験の評価結果をまとめて研究会に発表すると同時に、エリアにいる人口のうち実際に資源を必要とするモバイル通信を行うユーザを階層ベイズを用いて推定して精度良く資源割当を行う方法を検討する。 最終的には人流の予測によるエリア人口の予測方法とモデル予測制御によるモバイル資源割当制御を組み合わせた手法を確立する。
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Research Products
(4 results)