2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of the sex pheromone in the pinewood nematode, Bursaphelenchus xylophilus
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17H07161
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
新屋 良治 明治大学, 農学部, 専任講師 (30802798)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 性フェロモン / マツノザイセンチュウ / 分析 / 走化性検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマツノザイセンチュウにおける処女雌特異的性フェロモン物質を同定し、性フェロモンに関連した新たなマツ材線虫病防除手法へ展開するための基盤研究を行うことを目的としている。初年度は当初の計画通り、マツノザイセンチュウにおいて貯精嚢に精子を持たない処女雌のみが特異的に分泌する雄誘引性フェロモンを同定する為に、固相マイクロ抽出(SPME)法により様々な異なる線虫生育ステージごとに香気成分を捕集し、2D-GC-MS解析を行った。本手法では1サンプルあたり1,000頭の線虫をバイアル内滅菌水中で静置し、16時間香気成分を捕集し続けた。初年度はマツノザイセンチュウにおける3齢幼虫、交尾後の雌成虫、処女雌、交尾後精子を使い果した雌成虫、雄成虫の5つの異なる生育ステージにおける香気プロファイルを3反復ずつ取得することができた。計画書申請時の予備的試験によると明確な処女雌特異的ピークは2種類確認されていたが、繰り返し分析を行うことで最終的に9種類の処女雌特異的揮発性物質の存在を確認した。現在までに9種類のうちの7種類の物質の同定が終了し、残り2つに関しても候補物質は絞れているが異性体の存在により未だ明確な結論を得ることはできておらず現在も解析を継続中である。解析が当初の計画よりも前倒しで進んだことから、1種類の物質3-methyl-buten-1-ol acetateに対するマツノザイセンチュウ雄成虫の走化性検定を行った。その結果この物質は100倍および1000希釈時の濃度において、強く雄線虫を誘引することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予備的な実験に基づく当初の計画では2種類の処女雌特異的性フェロモン物質の存在が示唆されていたが、より詳細な分析を行うことにより9種類もの物質の存在を明らかにすることができた。また、初年度に9種類もの物質の同定をほぼ完了することができた。同定した物質に対する雄線虫の走化性検定は当初の計画では2年度目の予定であったが、分析が計画よりもスムーズの進んだことから一部初年度に行うことができた。従って、本研究の進捗は当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、初年度に同定した物質に対する雄線虫の走化性を検定していく。当初は2種類の物質に対する走化性検定を計画していたが初年度に9種類のフェロモン候補物質の存在が明らかになったのでこれら全てに対して検定を行っていく予定である。また、それと同時にまだ物質同定ができていない2種類の物質に関しては今後も分析作業を継続して物質の特定を目指す。さらに、9種類のフェロモン候補物質のうち化合物が市販されているものは5種類のみである。従って、それら以外の物質に関しては検定に使用するために合成をする必要がある。この作業に関しては予定通り共同研究者の協力を得て進めていく計画である。
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