2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Influence of the Aarhus Convention Compliance Committee on the activities of the Parliamentary Ombudsman and Environmental Ombudsman in the Environmental Field
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17H07177
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
進藤 眞人 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 助教 (30802061)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 環境法学 / 公法学 / アカウンタビリティ / 議会オンブズマン / オーフス条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に本研究は、オーフス条約遵守委員会(ACCC)と環境オンブズマンの関係性を明らかにすべく、オーストリアとハンガリーで現地調査を実施した。ACCCは、「情報へのアクセス・意思決定への市民参加・環境案件に関する審査機関へのアクセスに関する条約(オーフス条約)」の実効性を担保する為に設置された、条約保護機関である。そのオーフス条約は、環境行政意思決定のアカウンタビリティを確保することを目的として、締結された欧州地域を中心とする地域的枠組である。オーフス条約は、環境行政意思決定のアカウンタビリティを確保する為の法的枠組の構築を促進する世界的な動きの中で、特に地域的枠組が重要な役割を果たしているという典型例である。 他方、環境オンブズマンは、行政意思決定のアカウンタビリティを確保する上で鍵となる、公式の査問手続の場たる審査機関の一つである議会オンブズマンの一形態で、環境分野に特化した管轄を有するものを指す。従って、環境オンブズマンは、国内法体系上の枠組に分類される。オーストリアとハンガリーは、オーフス条約締約国の中で、環境オンブズマン制度の採用実績がある代表的な二国である。しかしながら、両国は同じ法系に属するとは云え、オーストリアの環境オンブズマンが、議会オンブズマン制度の典型からはかなり乖離した権限を有するのとは対照的に、ハンガリーの環境オンブズマンは、議会オンブズマン制度の典型に忠実な形で発達した。 そこで、本研究は、このような国内法体系上の枠組の違いに対する地域的枠組の影響の有無を明らかにするために、両国に於いて、ACCCの存在が環境オンブズマンの活動に与えている影響に関する調査を実施した。その長期的な狙いは、環境行政意思決定のアカウンタビリティを確保する為の法的枠組の全体像をより正確に把握することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に於いて、本研究は、まず基本的文献の収集と分析を行い、現地調査の準備を行った。そして、準備を基礎に、現地調査計画と個別調査票を作成し、主要関係各機関に調査協力を要請した。研究代表者が所属するthe International Ombudsman Institute (IOI)の支援を受けたこともあり、幸いにして、要請を出した殆どの機関からの調査協力を受けることが出来た。
現地での聞き取り調査は、2018年2月末から3月下旬に掛けて、オーストリアとハンガリーで実施された。オーストリアで特に重視していたことは、全九州の環境オンブズマンから出来るだけ多く聞き取りを行う事であったが、当職者が不在の一州を除く八州の環境オンブズマンから聞き取りを行う事ができた。また、ACCC関係者を含む主要関係者の全てに聞き取り調査を敢行できたことは、大きな成果と云える。また、ハンガリーに於いても、ACCC関係者と環境担当の議会副オンブズマンを含む主要関係者の全てに聞き取り調査を敢行できたので、全体として現地調査は大成功であったと云える。
オーストリアとハンガリーに於ける現地調査に基づいたACCCと環境オンブズマンの関係性について分析した内容は、当初の予定通り、2018年度の国内外の学会にて口頭発表を行って、フィードバックを得た後に英文論文として発表する。これにより、ACCCが議会オンブズマンの環境分野に於ける活動に与える影響の一端が解明される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、スウェーデン・アイルランド・ストラスブールに於ける現地調査を行い、ACCCと議会オンブズマン及び欧州オンブズマンの関係性を明らかにする。数ある議会オンブズマンの内、スウェーデンとアイルランドを選択したのは、両オンブズマンが環境分野での活動に熱意を以て取り組んでいることと、両国内にACCC委員の活動拠点が存在するからである。調査の準備に関しては、昨年度同様に主要関連文献の収集と分析を基礎として進めるが、更に昨年度の研究の成果を反映させて、より良い現地調査計画書と個別調査票の準備に努めてゆきたい。
2018年8月末から9月に掛けて、スウェーデン・アイルランド・ストラスブールで主要関係者を対象とした現地調査を行う。調査対象人数は、各国・地域共に、ACCC委員、議会オンブズマンまたは欧州オンブズマンと主要関係者を中心に、十名程度を想定している。現地調査の実施期間は、対象の夏季休暇との調整を要するが、三週間程度の滞在を想定している。その内訳は、各国・地域に一週間ずつの調査日程を想定している。
スウェーデン・アイルランド・ストラスブールに於ける現地調査に基づいたACCCと議会オンブズマン及び欧州オンブズマンの関係性について分析した内容は、2019年度の国内外の学会にて口頭発表を行って、フィードバックを得た後に英文論文として発表する予定である。これにより、ACCCが議会オンブズマンの環境分野に於ける活動に与える影響の解明が一層進む。
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Remarks |
平成29年度に行った本研究現地調査の成果を基礎に、本年5月に開催されるInternational Ombudsman Institute の環境統治に関する国際ワークショップに於いて、作業部会の共同議長を務める。
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Research Products
(2 results)