2017 Fiscal Year Annual Research Report
子育て中のがん患者が病気を子どもに伝える際の促進・阻害要因および支援方法の検討
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17H07184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小川 祐子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (60803369)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 精神腫瘍学 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,子育て中のがん患者が子どもに病気を伝える阻害要因と促進要因の因子構造を明らかにし,患者の心理的健康との関連について検討し,さらに、子育て中のがん患者が自身の病気を子どもに伝える際の医療従事者による支援について,患者のニーズと合致した実現可能な方法を明らかにすることである。 平成29年度は,子育て中のがん患者が子どもに病気を伝える阻害要因と促進要因の特徴を明らかにするため,都内のがん拠点総合病院と5団体のがん患者会の協力を得て,子育て中または子育て経験のあるがん患者を対象にアンケート調査を行った。計158名の患者にアンケートを配布した結果,84名より返信を得た(回収率53.2%)。これまでのデータから,放射線療法受療歴,今後の治療予定の有無,婚姻状況によって,病気について子どもに伝える困難感に違いがあることが示された。また,夫婦関係に対する満足度と病気について子どもに伝える困難感との間には,有意な負の相関関係があることが示された。一方で,患者の年齢・性別,子どもの年齢・性別,患者の教育歴,就業状況,がん種,病期,再発・転移の有無,これまでの治療内容について,病気を伝える困難感との関連は認められなかった。これらのことから,放射線治療を含む特定の治療を受けている患者や,配偶者との関係性が不良な患者においては,自身の病気について子どもに伝える困難感が特に高いことが示唆された。 平成30年度は,引き続きデータ収集を行い,多変量解析に十分なデータ数に達し次第,結果をまとめ,学術雑誌へ投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,平成29年度に予定していた課題1・2に共通するデータ収集を行い,平成30年度に検討予定のフォローアップ調査対象者にも継続的にアンケートを配布中であることから,概ね当初の計画通りに進展しているといえる。しかしながら,当初実施予定であった解析には十分はサンプル数が確保できていないため,平成30年度の前半に引き続きデータ収集を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,引き続き平成29年度調査のアンケートを配布するとともに,予定していた多変量解析に十分なデータ数に達し次第,結果をまとめ,学術雑誌へ投稿予定である。また,平成30年度に予定していた(1)医療機関での子育て中のがん患者に対する支援の現状と課題の聞き取り,および(2)平成29年度に行った調査のフォローアップ調査を行い,子育て中のがん患者に対する医療機関での支援が阻害・促進要因に与える影響を検討する。
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Research Products
(2 results)