2017 Fiscal Year Annual Research Report
Continuity and Emotion of Environment Accounting System
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17H07206
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Research Institution | Niigata Sangyo University |
Principal Investigator |
岡田 華奈 新潟産業大学, 経済学部, 助教 (30799929)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | マテリアルフローコスト会計 / 環境管理会計 / 感情 / 管理会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は環境管理会計の展開の特徴の議論・検討のために既存の研究の検討および定性的研究を行った。 まず,「会計における感情研究の理論的射程範囲の究明」のために管理会計における感情と会計の関係に関する研究の文献レビューを行った。この結果は,平成30年8月27日から29日にわたって慶應義塾大学三田キャンパスで行われた管理会計学会全国大会にて発表し,その後,学術雑誌に投稿の予定である。近年の管理会計における感情研究に対して理論的な文献レビューを行った研究は未だ少ない点において管理会計学への貢献は高いと考えられる。また,本研究が目的としている環境管理会計の文脈への拡張が期待され,継続的実施のメカニズムの解明のためにも有効となったといえる。 また,本年度には文献レビューと並行してMFCAフォーラム主催のワーキンググループへの参与観察を行い,マテリアルフローコスト会計(以下MFCA)の適用経験企業の意見交換に対する参与観察を行った。複数の企業の担当者の意見を多面的に観察することができ,継続的適用において課題となる共通の問題が明らかになった。また,この観察によって,MFCAを企業の環境マネジメントの枠組みの中に位置づけることが継続的適用における重要な点であることが判明した。これは,企業が置かれている制度的状況によるものである。研究計画当初には想定していなかったが,経験的研究を通して,MFCAの継続実践に対してはこのような外部的状況も大きな要因であることも明らかとなった。今後の研究展開として,実践を通して観察される感情といった企業の内部的状況と外部的状況が相互作用する理論的説明が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の実施内容の一つである文献レビューについては当初の予定通り順調に進展した。一方で継続企業に対する定期的な訪問による参与観察は研究協力企業の経営的状況変化に伴い困難となった。このため,新たな研究協力企業の選定確保の必要が生じた。この過程に対して,計画遂行困難時の対応策として想定していたワーキンググループへの参加による言説データ収集,企業調査に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
既存研究の文献レビューを通して,管理会計においては様々な意思決定が会計数値とともに価値観や感情の表現が作業環境の潜在的に生産的な特徴を与えていることが明らかとされていることが明らかとなった。この価値観や感情の表現が環境管理会計の実践においてはどのようなものなのか,また企業の理念や風土との違いはなにかについて検討を深める必要がある。それを明らかにするためにも経験的な研究が必要であるが,具体的な企業の取り組みをみることと並行して複数の企業の言説を対象とした網羅的研究も行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)