2017 Fiscal Year Annual Research Report
保存期慢性腎臓病患者へのコンコーダンスを活用した新しい療養指導モデルの考案
Project/Area Number |
17H07208
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
新井 里美 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (90802413)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | コンコーダンス / 療養指導 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、入退院を繰り返す保存期慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:以下CKD)患者の療養体験を解明し、療養指導の場面でCKD患者の特性に適したコンコーダンス(援助技法のモデル)を導入することで、CKD患者に対する新たな療養指導モデルを考案することである。申請者らは先行研究で保存期CKD患者の療養指導に関する看護師の困難を明らかにしており、今回保存期CKD患者の療養体験を尊重した新しい療養指導モデルを作成するために、第1段階で患者の療養体験を明らかにし第2段階でCKD患者に適したコンコーダンス技法を検討する。 採択後、所属大学の医学研究倫理審査委員会の倫理審査を受け承認を得たのち、2017年11月~A病院に入院中の保存期CKD患者にインタビューを行った。対象者は、20歳以上の入退院を2回以上繰り返している、また主治医より研究参加可能な状態であると許可があり、研究に対する同意が得られた11名の保存期CKD患者である。 データ収集方法はCKD患者の生活心情、性格傾向、療養体験について研究参加者に1時間程度の半構造化面接を行った。面接場所はプライバシーが確保できる個室で行い、研究参加者の承諾を得た上で面接内容をICレコーダーに録音し逐語録を作成した。対象者の基本属性として年齢、性別、原疾患、合併症、腎機能(eGFR、Hb、蛋白尿)、入院回数・期間、を診療録にて調査する。インタビューガイドはコンコーダンス(安保ら,2014)の自分らしい暮らしの回復7つの視点(希望・安全な居場所・自分らしさ・あたたかい人間関係・自己決定と自己主張・対処や工夫をする・意味を感じること)に準ずる。 データ分析は、KJ法を参考に逐語録の文脈から解釈可能なレベルでカテゴリー化を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究であるが採択後所属大学の医学研究倫理審査委員会の倫理審査を受け承認を得たのち、研究開始できたのが2017年11月と研究開始から5か月しか経過していないこと、また入院中の患者選定で、対象となる患者数が少なかったため、3月時点でも患者へのインタビューを行っている状況であることから、当初予定の分析・まとめまでには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き第1段階の患者へのインタビューを行い対象患者数を確保すること、また並行して逐語録の作成・および分析を行っていく。また第2段階の研究のための準備(倫理審査申請や病棟看護師への説明・同意)を行う。 第2段階は【コンコーダンス技法を活用した保存期CKD患者への効果的な療養指導モデルの考案―腎臓内科病棟看護師との協働―】ということで、A病院に勤務する、既存の腎臓病指導にかかわっている臨床看護師および栄養士を含む20名程度を対象にアクションリサーチを行う。アクション内容は①平成29年度で明らかとなった入退院を繰り返す保存期CKD患者の療養体験をまとめ、分析結果を書面を用いて報告(30分程度)し、看護師および他職種(栄養士)で情報共有する。ただし参加人数により、報告会は1~2回を予定。②腎指導に関する価値観共有のため、コンコーダンスの書籍を人数分購入し、それを用いて「コンコーダンス」の理論と技法に関する勉強会(1時間程度)を実施する。勉強会の前後で、療養指導に対する認識をメンバー間で確認する。ただし参加人数により、勉強会は1~2回を予定。③コンコーダンスの理論・技法の知識を共有したあと、グループミーティング(1時間程度)を通してメンバー間で意見や感想の交換を行い、保存期CKD患者の療養指導に適したコンコーダンス技法を提示・検討する。ただし参加人数により、グループミーティングは1~2回を予定。④③の実践例をもとにした事例検討会(30分程度)を実施する。事例提供者には事前にリフレクションガイドを記載してもらう。1か月に1回、コンコーダンスを意識して腎指導を行った事例をもちより検討する。(計4回予定)⑤研究データから研究の全過程を評価し、新しい療養指導モデルを病棟スタッフとともに考案する予定である。
|