2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H07246
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
富 嘉吟 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (00802696)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 和刻本 / 唐代文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は『和刻本唐人別集目録』の作成した上で、一部の蔵書機関の原本調査を行った。具体的な活動として、以下のようである。 1、長沢規矩也『和刻本漢籍目録』を踏まえ、『静嘉堂文庫漢籍分類目録』など各公私蔵書機関の漢籍目録を精査した。得られたデータの整理を集中的に行い、『和刻本唐人別集目録』の初稿を作成した。『目録』は本課題の基礎作業となり、これ以降の調査・研究によって補正・修訂することがある。 2、江戸時代に活躍していた京都の版元の天王寺屋市郎兵衞が刊行した唐人別集の原本調査・本文校勘などを行い、その研究成果を「東亞漢籍交流国際学術会議」(2017年12月)にて発表した。発表後の質疑応答では、国内外の研究者から意見をもらい、本課題の遂行に関わる大変有意義な情報を得ることができた。 3、名古屋市蓬左文庫所蔵の和刻本唐人別集の原本を調査した。とくに尾張藩明倫堂刊行の『曲江張先生文集』について、その本文構成や成立背景・流伝などを詳しく検討し、その研究成果を「中国芸文研究会」(2018年3月)にて発表した。また、「蓬左文庫所蔵和刻本唐人別集解題稿」の初稿を作成し、今後発表する予定である。 4、『尾張徳川家蔵書目録』所収の唐人別集の索引を作成し、尾張藩所蔵の唐人別集の概況を一覧することができる。 5、九州大学付属中央図書館及び文系図書館所蔵の和刻本唐人別集の原本を調査した。とくに九州大学付属文系図書館には四種類の『杜律集解』を所蔵しており、江戸時代における杜詩の流伝に関する貴重な資料である。これについては今後発表・報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は『和刻本唐人別集目録』の作成から着手した。これについては、申請した時点で資料の準備がすでに整っており、当初の計画以上に進展している。 しかしながら、『和刻本唐人別集目録』を作成した上で名古屋市蓬左文庫及び九州大学で原本調査を行ったが、蓬左文庫所蔵の資料の量が当初の予期より少ないが、その内容が極めて複雑で本文を詳しく校勘する必要がある。この部分は予想通りに進められなかった。 これらの成果を全体的に見れば、研究目的の達成のための研究をおおむね順調に遂行できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえ、今後の研究計画を次のように推進しようと思う。 1、五山版唐人別集に関する研究を集中的に行い、五山文学における唐代文学の受容の一面を闡明する。 2、静嘉堂文庫・国立公文書館・国会図書館所蔵の五山版唐人別集の解題稿を編纂する。 3、今まで蒐集した情報をデータベース化し、インターネット上に公開する。また、GISの導入とともに、和刻本唐人別集の刊行状況を可視化する。 4、海外の研究者を招聘して講演会などを開催し、より広い意見交換を行う予定である。
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Research Products
(2 results)