2017 Fiscal Year Annual Research Report
Economic experiences of the South Manchuria Railway employees in postwar Japan: Kanagawa, Osaka and Hiroshima prefectures
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17H07250
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西崎 純代 立命館大学, 国際関係学部, 助教 (30802110)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 引揚げ / 南満州鉄道 / 日本帝国 / 戦後復興 / 労働市場 / 労働移動 / 技能移転 / 社内教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1930年代から1940年代の日本の外地国策企業の企業内教育が、戦後日本の人的資本の向上や産業技術の普及に果たした役割を究明することである。2年間という研究期間を有効に活用するため、国策企業の中で最大規模であった南満州鉄道株式会社(満鉄)に焦点を絞り、下記の課題を設定して研究を行った。【課題1】満鉄の人事記録と厚生省の「引揚者在外事実調査」(1956年)の調査票を用い、旧満鉄社員の戦時中の職務経験と戦後の職業選択について統計的に把握する。【課題2】満鉄における企業内教育(養成所及び職場での実地訓練)の実態と教育内容を、満鉄の社内資料から解明する。【課題3】課題1と課題2で得られたデータベースと資料をもとに、満鉄引揚社員の戦後日本経済における役割を検証する。 研究一年目の2017年度は、【課題1】に主に取り組んだ。その中で、広島県文書館所蔵の「引揚者在外事実調査票」を収集したが、予備調査を行った段階で、資料の劣化が進んでいることが明らかになった。資料の取り扱いに細心の注意を要することから、広島文書館の資料撮影の実績がある専門業者に依頼をすることになり、2017年度分経費を一部2018年度に繰り越した。 2017年度には、2度の研究発表を行った。そのうち、European Historical Economics Societyの学会では、ヨーロッパの経済史研究者と交流し、統計分析方法に有益なヒントを得た。また、同学会ウェブサイトに満鉄引揚者の戦後の職業活動に関するカンファレンス・ペーパー("Human capital development via in-house training: A case of the South Manchuria Railway Company (SMR) in the Japanese empire") が掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究一年目となる2017年度は、主に史料の収集とデータベースの構築を行った。広島県文書館所蔵の「引揚者在外事実調査票」の収集に関してのみ、資料の劣化が進んでいたため、文書館の資料に詳しい専門業者に撮影を委託することになり、2018年に作業を繰り越すことになったが、その他は予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2018年度は、【課題1】とした資料収集を完了し、【課題2】満鉄における企業内教育(養成所及び職場での実地訓練)の実態と教育内容を、満鉄の社内資料から解明、及び【課題3】課題1と課題2で得られたデータベースと資料をもとに、満鉄引揚社員の戦後日本経済における役割を検証、の作業を行う。
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