2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of essay-style university entrance examinations: A case study from France
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17H07253
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
細尾 萌子 立命館大学, 文学部, 准教授 (70633808)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 大学入試 / 論述試験 / バカロレア / フランス / 高校教育 / 指導・評価法 / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では2020年度から、記述式問題を含んだ大学入試の共通テストが実施される。フランスの大学入試であるバカロレア試験は古くから論述試験を中心としており、日本の改革の模範になりうる。 そこで本研究では、1. フランスの高校で、バカロレア試験に向けて、教科や生徒の特性に合わせた指導と評価をどのように実践しているかを、コンピテンシー教育政策の影響をふまえて明らかにするとともに、2. 論述型の大学入試をめざした日本の高校での指導・評価法に関する実践的指針を提示することを目的としている。コンピテンシー教育政策とは、知識を活用する問題解決力である「コンピテンシー」の育成をめざす政策である。 (1) 2018年2月に、フランス東部のヒレー・ド・シャルドネ高校と、マシアス高校という、生徒の困難度が中程度で同じ街にある二校を訪問し、英語・歴史地理・数学・物理・生命地球科学(マシアス高校では初めの三教科のみ)の授業見学と、教師へのインタビューを実施した。これにより、指導・評価法の教科による違いと、バカロレア試験で問われる思考力・表現力の育成方法(授業内のものと授業外のもの)の特徴が明らかになった。 (2) 英語・歴史地理・数学・物理・生命地球科学のバカロレア試験受験参考書を入手し、各教科のバカロレア試験で問われている思考力・表現力の分析を進めた。 (3) 7月と9月に立命館高校、12月に名古屋商業高校を訪問し、授業見学と教師へのインタビューを行った。論述型の大学入試に向けた思考力・表現力の指導について、日本の学校現場の現状と課題を知ることができた。 (4) 以上の成果の一部を、『現代フランスの教育改革』明石書店や学会発表、論文で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フランスと日本の高校の訪問調査を、交付申請書提出時の計画よりも進めることができたためである。 当初はフランスのヒレー・ド・シャルドネ高校からしか調査協力を得られていなかったが、同校の教頭に、前任校であるマシアス高校を紹介してもらい、同じ街で生徒の社会的構成が同等の二校で調査を行うことができた。 さらに、日本の訪問校を当初は立命館高校しか予定していなかったが、名古屋商業高校も訪問することができ、思考力・表現力の指導に関して、普通科だけでなく職業学科(商業科)の現状と課題も知ることができた。 また、フランスのバカロレア試験で問われている思考力・表現力の特徴に関する文献調査も、予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は生徒の困難度が中程度のフランスの高校で調査を行ったため、平成30年度は、生徒の困難度が高いフランスの高校と、生徒の困難度が低いフランスの高校で調査(授業見学と教師へのインタビュー)を行う。これにより、生徒の特性による指導法の違いを明らかにする。
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Research Products
(11 results)