2017 Fiscal Year Annual Research Report
コラボレイティブ・コンサルテーションによる問題解決のための協働的対話
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17H07260
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
伊東 秀章 龍谷大学, 文学部, 講師 (50801411)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 協働 / コミュニケーション / コラボレイティブ / 家族療法 / ロールプレイ / ダイアローグ / システムズアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
協働的な援助実践の重要性が指摘されているが、具体的にそれぞれの専門性をどのように尊重するのかは課題であった。本研究では、コンサルテーションの模擬ロールプレイによって、そのコミュニケーションを明らかにし、コンサルティの振り返りを即時に行い、協働的な対話の進め方について検討することを目的とする。 模擬ロールプレイと振り返りインタビューをICレコーダーに録音し、逐語録を作成した。分析者は、コンサルティの振り返りインタビューの逐語録から、「コンサルティが主体的に動いた・解決策を生み出した、と感じたり行なっている部分」に該当する部分を抽出した。その後、そのように振り返った部分について、模擬ロールプレイの逐語録を参照した。 分析結果は、コンサルティが主体性を維持できたとする振り返りは、1.コンサルタントからの質問に触発される、またはコンサルティが話すことによって自ら気づく部分、2.コンサルティの発言や質問のしやすさ、3.コンサルタントのコメントによるコンサルティの新しい気づきと、その前提での新しい対応の創造、などがあった。 コンサルティは、コンサルタントの質問によって再度、問題について考えたり、問題について話すことによって、コンサルティが気づきを得ていることがわかった。コンサルティの気づきを活用できれば、より協働的なコンサルテーションとなると考えられる。また、コンサルテーションの応答性を高めること、また、コンサルタントの提案をコンサルティが受け入れるか否かの主体性を担保することが協働性を高めると考えられる。 コンサルタントがコンサルティの反応を受け取り続けると言うコミュニケーションがコンサルテーションにおいて有益であり、コンサルタントがコンサルティに一方的に伝えることが、コンサルテーションの協働性、そして有効性を低下させると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、研究計画通りに進んでいる。研究計画書を作成したこと、それを参考に実行していることが奏功していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り研究を進めると同時に、よりコラボレイティブなコンサルテーションを検討するため、昨年度の結果で明らかになった、協働性を高めるための「会話における質問」について検討し、研究を続ける予定である。Reflexive Question, Strategic Question, Circular Question, Lineal Question,の観点(Tomm, K., 1987, Tomm, K.,1988)から、専門家同士の会話における協働性を高めるための質問とはどの様に成立するのかを検討する予定である。円環的認識論、再帰性、バフチンのダイアローグ論、コンサルテーション理論などから検討する。 Tomm, K. Interventive Interviewing: partⅡ. Reflexive questioning as a means to Enable Self-Healing, Family Process, vol.26 No.2、pp.167-183, 1987, Tomm, K. Interventive Interviewing: partⅢ.Intending to Ask Lineal, Circular, Strategic, or Reflexive Questions?, Family Process, vol.27 No.1、pp.1-15,1988
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Research Products
(1 results)