2017 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルサポート提供者を育む実践プログラムの開発 スポーツをささえる人材育成
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17H07268
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
片上 絵梨子 大阪体育大学, 体育学部, 研究員 (00808850)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャルサポート / サポート提供者 / 受傷期のアスリート / 環境適応期のアスリート / 女性アスリート / サポートガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,アスリートが求めるサポート内容について,スポーツ現場においてサポートが必要とされる3つの場面(受傷・リハビリテーション期, キャリア移行期, 女性特有のストレス期)ごとに明らかにし,サポート提供に向けた実践的枠組みを構築することを目的としている.平成29年度は主に,1) 3つの場面におけるサポート内容を特定すること,2)各場面のサポート尺度を開発することの2点を中心として進めた.各場面の調査における進捗状況は以下の通りである. a)受傷・リハビリテーション期 受傷経験のある大学生アスリートを対象に,受傷・リハビリテーション期に求めるサポートについて自由記述形式で回答を求めデータを収集した.得られたサポート内容を分類し,暫定版「受傷アスリート用ソーシャルサポート尺度」を作成した.受傷・リハビリテーション期にある学生アスリートを対象とした調査により尺度の信頼性・妥当性が確認されている. b)キャリア移行期 平成29年度5月下旬,平成30年3月の2回にわたり,大学新入生アスリートを対象とした新しい環境における日常・競技生活に関する課題や必要とする支援に関するヒアリング調査を行なった.現在,得られた調査結果よりキャリア移行期に求められるサポートについて内容分析を進め,「キャリア移行アスリート用ソーシャルサポート尺度」を作成中である. c)女性特有のストレス期 平成29年度6月に,大学に所属する女性アスリートを対象として,女性アスリート特有の課題に対応して必要となるサポートに関する質問紙・ヒアリング調査を実施し,現在分析中である.「女性アスリート用ソーシャルサポート尺度」の作成に向けた調査を実施している.一連の研究成果を学会にて発表しており,現在学術誌における発表に向けて準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた項目収集調査は概ね順調に進んでいるものの,得られたデータの内容分析および尺度作成に向けた作業は予定よりやや遅れている.これは,研究者が所属大学を異動したことに伴い,データ分析協力者との日程調整が難しくなっていることが原因であると考えられる.改善策として,今後のデータ分析については,オンライン会議の実施やワーキング日を設定することを提案し,データ分析協力者より了承を得ている. 平成29年度に予定していた尺度作成と平成30年度の研究計画実施に向けて,協力者と連携しながら進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の活動により,スポーツ現場においてサポートが必要とされる3つの場面(受傷・リハビリテーション期, キャリア移行期, 女性特有のストレス期)ごとにアスリートが求めるサポート内容が明らかになった.前年度に得られた成果をふまえ,平成30年度は,必要とされるサポートを実践場面において効果的なサポート提供が実践されるための取り組みを進める.具体的には,1)アスリートの周囲の他者(e.g.コーチ,監督,チームの主将,スタッフなど)が各場面において適切なサポートを提供できるようになることを狙いとした「サポート提供者育成プログラム」を開発すること,2)これまでのソーシャルサポート研究から得られた知見を統合し,スポーツ場面における「アスリートサポートガイドライン」を作成することを目指す. 「サポート提供者育成プログラム」は,指導者やスポーツチームの主将や最上学年など,アスリートにとってサポート提供者となる人材をターゲットとし,スポーツメンタルトレーニングや心理技法の理論的枠組みを援用したワークショップ形式のセッションを計画している.プログラム前半では,平成29年度に得られた知見を中心に情報提供することで各場面に求められるサポートについての理解を促し,後半ではサポート実践のためのスキルを習得することを狙いとしたワーク,アクティビティなどを含むプログラムを考案中である. 「アスリートサポートガイドライン」は,本研究より得られた知見およびサポート提供者育成プログラムの受講者からのフィードバックをふまえ,アスリートへのサポート提供に役立つガイドラインを作成する.アスリートを支える人材が,アスリート支援に関する知識や科学的知見に基づく有用なサポート提供方策について理解を深め,適切なサポートを提供できるスキルを身につけることにより,スポーツ現場での効果的なサポート授受が生まれることを目指す.
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