2017 Fiscal Year Annual Research Report
DAMPs による血管新生機序解明および新規がん治療薬の創薬研究
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17H07272
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山崎 由衣 近畿大学, 医学部, 助教 (50761970)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | DAMPs / がん / 血管新生 / マクロファージ / AGE |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの増悪には、かん組織周辺の血管新生が重要であり、その抑制は、より有効な新規がん治療薬の開発に繋がるとされている。また、がん組織局所の微小環境を形成するマクロファージの分化異常が、がん増殖に重要であることが知られている。本申請者らの先行研究において、がんの増悪・改善の両方向に作用することが知られている damaged assosiated molecular patterns (DAMPs) の一部が、マクロファージの M1/M2 両方の分化を増幅し、血管新生に対してそれぞれ抑制的/促進的に作用することを明らかとしている。これらを踏まえて、平成 29 年度ではまず初めに、模式的な血管新生評価系を作成するために、血管内皮単一細胞による血管新生評価系をマトリゲルアッセイ法により確立した。また、この血管新生評価系を用い、DAMPs のひとつである Advanced Glycation End Products (AGE) が、血管新生に促進的に作用し、この血管新生促進機序の一部に、スカベンジャーレセプターのひとつである CD204 が関与する可能性を見出した。さらに、AGE 刺激によって、マクロファージの膜抗原発現パターンが大きく変化することも明らかとした。今後は、マクロファージと血管内皮細胞の共培養時の血管新生への DAPMs の影響および血管新生機序の解明を行う予定である。 本研究は、血管新生阻害薬の創薬における基礎的検討を目的としており、新規がん治療薬の開発へ寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 29 年度の研究実施計画に基づき、AGE 刺激後の血管内皮細胞およびマクロファージにおける膜抗原発現パターン解析を行い、一定の結果を得た。また、マトリゲルアッセイによる血管新生評価系において、AGE 刺激による血管新生への影響ならびにその機序の解明を行い、一定の結果を得ている。また、平成 30 年度には、これらの研究成果を国際学会において発表を予定である。 以上、研究は順調に進んており、おおむね良好であるを考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血管新生阻害薬の創薬における基礎的検討を目的とし、血管内皮細胞およびマクロファージ共培養系における、血管新生への DAMPs の影響の解析、ならびにその機序の解明を行う。この研究の遂行により、新規がん治療薬開発に寄与すると考えられる。
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