2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Acceleration and Effects of Inclusion for Diversity Management in Japanese Companies
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17H07276
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Research Institution | Osaka Jogakuin College |
Principal Investigator |
船越 多枝 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 専任講師 (50801776)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 経営学 / ダイバーシティ / ダイバーシティ・マネジメント / インクルージョン / 組織行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様な人材のマネジメント、いわゆるダイバーシティ・マネジメントにおいて、一人ひとりの力の発揮に焦点を当てるインクルージョンに着目し、特に日本企業におけるその調整効果と促進要因を明らかにすることである。またその中でも、船越(2016b)の定性調査で導き出された仮説、すなわち上司部下や、同僚との職場の人間関係性が、個人のインクルージョンの実感に大きく影響し、そのインクルージョンの実感が職場の成果に繋がるという点において定量調査・定性調査で実証を行うことを目的としている。平成29年度の主要な研究成果としては、定量調査に向けての先行研究を整理し、変数の整理検討を行ったことである。インクルージョンに関する先行研究は、欧米では近年、その数が増えつつあるものの、その定義や定量調査の変数となり得る概念、また具体的な設問肢が整理されているわけではない。また日本企業というコンテクストを考慮する必要もある。よって、主に欧米のものとなる先行研究から本研究の目的に沿う変数を見出し、抽出や整理を行うには多大な時間がかかる。そのような点で、日本でのインクルージョンの量的調査について、尺度の検討を行ったことは、理論的にも実践的にも意義が高いと考える。なお、尺度の抽出後は、複数職場へ定量調査の実施予定していたが、設定した変数の妥当性を広く一般的に確認の上で個社へ依頼する必要があると考え、インターネットによる調査を研究計画に盛り込み実施した。一方、平成30年度に予定していた定性的調査に関しては、協力企業の出現から一部を前倒しで進めれている状況である。これらの研究成果については、平成30年度内に論文を完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、定量調査を念頭においた研究計画であったが、先行研究の整理と検討、適切な尺度の抽出等、着実に進捗している。調査の実施という点においては、当初の研究計画で予定していた個社への定量調査を実施する前に、インターネット調査による抽出尺度の検討を含めた。これにより研究プロセスが増えたため、定量調査面で当初の計画からは若干の遅れが発生したが、インターネット調査の実施は研究をより精緻に進めていくために必要不可欠であると認識している。一方で、平成30年から取り組みを予定していた定性調査は平成29年度から進められている。よって研究全体の進捗としては概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は可能な限り個社毎や職場毎の調査に力を入れ、得られた調査結果を基にして、発見事実と考察を総合的に検討する。調査方法は、平成30年度においては定性調査を主軸に考えているが、平成29年度で抽出した尺度を用いて個社での定量調査も進めていく予定である。定量・定性の両方を視野に入れながら、リサーチサイトの状況や、研究の進捗に鑑みて、適宜、最適な方法を選択していく。最終的に、平成29年度に行った研究も含めて、研究目的に向かって総合的な分析・考察を行い、研究成果として纏めていく。なお、情報収集のために国内外の学会にも積極的に参加を行う。また、本研究で得られた成果は速やかに、学会発表を行い、論文として纏めていく予定である。
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