2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of combined transcranial direct current stimulation and aerobic exercise on neuropathic pain in patients with spinal cord injury
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17H07287
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
佐藤 剛介 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (70807007)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 経頭蓋直流電気刺激 / 有酸素運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対して経頭蓋直流電気刺激(Transcranial direct current stimulation: tDCS)と有酸素運動の併用介入が疼痛強度を減少させるかを検証するとともに,その神経学的メカニズムを脳波解析によって明らかにすることとしていた.脳波解析は,安静時脳波活動を使用し神経障害性疼痛のバイオマーカーであるPeak alpha frequency(PAF)を用いた. 実際には,本年度は予備的に健常者を対象としてtDCSと有酸素運動の併用介入が圧痛閾値を増加させるかと安静時脳波活動への影響を調査した.その結果,tDCSと有酸素運動を併用した条件では,tDCSを単独で使用する条件,シャム刺激と有酸素運動の併用条件と比較して最も圧痛閾値を増加させるとともに,圧痛閾値が増加し始めるタイミングも早いことが確認された.加えて,tDCSと有酸素運動を併用した場合には,tDCSを単独で行うよりも負の気分状態が改善することが明らかにされた.しかしながら,tDCSと有酸素運動の併用による安静時脳波活動への影響は特異的なものを明らかにすることができなかった.これについては,健常者を対象としていたことが要因の一つとして考えられ,併用介入の効果を検証できるよう新たな脳波解析法を追加していく必要がある.今回のこれらの結果は,tDCSと有酸素運動を併用することの有効性と効果を発揮する時間的特性を明らかにすることができ,臨床においてもtDCSと有酸素運動の併用介入による鎮痛効果を期待できることを示した.この研究成果は,PAFを用いた解析だけではなく新たな脳波解析を加え,論文公表の準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,予備的に健常者を対象として経頭蓋直流電気刺激(Transcranial direct current stimulation: tDCS)と有酸素運動の併用介入が圧痛閾値を増加させるかを検証するとともに神経学的メカニズムを明らかにするために実験を進めてきた.健常者においては,tDCSと有酸素運動を併用した条件では,tDCS単独の条件とシャム刺激と有酸素運動を併用した条件と比較して圧痛閾値の増加が最も大きく,より早い段階で圧痛閾値が増加することを明らかにすることができた.同時に安静時脳波活動を測定し,Peak alpha frequency(PAF)用いた解析を行ったが,tDCSと有酸素運動の併用介入に特異的な脳活動の変化を明らかにすることができず予定とは異なる結果であった. 現在は,PAFを用いた解析とは別の手法を用いてtDCSと有酸素運動の併用介入による特異的な脳活動の変化を明らかにできるよう解析を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
健常者を対象とした予備研究での脳波解析を進めるとともに,神経障害性疼痛を有する脊髄損傷者での経頭蓋直流電気刺激(Transcranial direct current stimulation: tDCS)と有酸素運動の併用介入による鎮痛効果を検証する. 健常者での脳波解析については,Peak alpha frequency(PAF)を用いた解析とは異なる方法で検証することでtDCSと有酸素運動の併用介入による圧痛閾値増加の神経メカニズムを明らかにする. また,実際に神経障害性疼痛を有する脊髄損傷者に対して有酸素運動を自転車エルゴメーターでのペダリング運動から車椅子駆動に変更し,同様の実験手順で進める.同時に安静時脳波活動を測定し,PAFを用いた解析を行うとともに予備実験での解析方法を参考にtDCSと有酸素運動の併用介入による鎮痛効果の神経学的メカニズムを検証する.
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