2017 Fiscal Year Annual Research Report
地域在住高齢者の活動と社会参加を促す達成動機の段階に基づく支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17H07288
|
Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
佐野 伸之 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (40799235)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 健康高齢者 / 意欲 / 活動と社会参加 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域在住高齢者の介護予防促進につなげるため、目標をやり遂げたいという意欲(達成動機)の状態に応じた支援プログラムの開発と、達成動機と身体機能や日常生活の活動量の変化についての関係性を明らかにすることである。 そのため、本研究では3時点での縦断的調査を行う予定である。平成29年度では地域サロンや老人クラブなど計14か所で実施し、そこに参加する計238名に対して第1回目の調査を終えている。調査内容は質問紙調査と身体機能の評価を行っている。質問紙調査では、達成動機、作業機能障害(日々の生活行為が不適切になっていないか)、包括的環境要因(人的・物的環境がどれほど充実しているか)、日常生活での活動量について主観的評価を行った。身体機能では、握力、5m区間の歩行速度、下肢筋力の測定を行った。 現在までの分析においては、対象者は平均年齢76.1±7.2歳であり、男性は46名、女性は192名、介護保険の認定を受けている方は28名(支援1は16名、支援2は7名、介護1と2は各2名、介護3は1名)であった。何らかの趣味を持っている方は196名おり、過去3か月以内の転倒歴がある方は25名、入院歴がある方は8名であった。 達成動機については、リハビリテーション領域で開発されていた尺度を本研究で健康高齢者用に改編した尺度において統計的妥当性、信頼性が確認された。また、達成動機の状態は暫定的に4段階でその状態を捉えることが望ましいと考えられ、達成動機の高い段階であるほど、社会交流の充実した環境や安心して暮らせる環境と関連が強く、自身が行う生活行為に価値を見出しながら過ごせる傾向にあることが明らかとなった。第1回目の身体機能の状態とは関連が見られず、今後の変化量との関係性を確認する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1回目の調査では、研究対象者300名を予定していたが、238名という若干不足する対象者の数値となった。しかし、研究以外の業務がある中で14か所のサロンやクラブから協力を得られ、研究データの収集に要する時間としては限界であったと考える。また、今回の対象者数で十分に分析が行えるため、分析も信頼できる結果となったと考える。 また、平成29年度の3月より第2回目の調査を開始しており、全実施場所から研究の継続を快諾されている状態で14か所中10か所での第2回目の調査を終えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には第2回目の調査の内、残りの4か所を4月中に終える予定である。さらに、第3回目の調査時期を同年度8月から9月に予定しており、全実施場所から継続した研究協力が見込まれる状態で、日程調整も概ね行えている。 また、第1回目の調査を基に分析を進めており、その一部を7月に開催される第12回国際リハビリテーション医学会で発表する予定である。その学会での意見交換を踏まえて、今年の12月までに国際学術誌への論文投稿を行う予定である。 さらに、第3回目の調査が終わり次第、縦断的調査による分析を行い、今年度中に研究成果を学会発表または論文投稿する予定である。
|