2017 Fiscal Year Annual Research Report
術中褥瘡の形成誘因と体圧荷重の分析による褥瘡予測指標
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17H07310
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Research Institution | Fukuoka Nursing College |
Principal Investigator |
内田 荘平 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (00807109)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 術中褥瘡 / 鏡視下手術 / 手術体位 / 連続複合斜角 / 褥瘡予測指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡対策は病院の必須条件であり、医療の質保証の1つとして位置づけられている。特に手術中の褥瘡予防対策は、褥瘡ハイリスク加算の算定対象となっており、褥瘡発生予測・予防を目指した質の高いアセスメント・判断が要求される。術中の褥瘡対策をより効果的に実施するためには、術中褥瘡が形成される危険性を予測する定量化された指標が必要である。90年台に褥瘡形成要因の分析をおこない術中褥瘡 予測の指標を作成したが、医療機器の進歩により鏡視下手術の増加し、複雑な体圧荷重がかかる特殊体位が標準化し、指標を適応するのが困難となった。 そこで、褥瘡形成要因となっている連続的かつ複合的な斜角による荷重変化と特殊体位を含めた体圧荷重の分析を行い医療技術の進歩に即した術中褥瘡予測指標の構築をおこなう。瘡形成要因となっている連続的かつ複合的な斜角による荷重変化測定には、実際の手術患者の測定は、疾患、切除対象部位、手技等により様々な手術経過があり、得られるデータは多くを望めない。そのため、前年度は、生体と同様の身体部位別荷重を持ち、体重可変が可能な全身体圧測定ドナーの設計を行なった。 また、現在、臨床で実際に実施している鏡視下手術の体位固定の環境(固定具や予防具)の調査、固定方法における情報収集を実施している。また、導入されつつあるロボット手術の体位現状、ハイブリット手術室での操作に伴う体位も調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
褥瘡形成要因となっている連続的かつ複合的な斜角による荷重変化測定は、体圧測定装置、および、測定対象となる人体ドナーが必要であるため、申請時研究計画書にて、実験環境に必要な物品費を初年度は、体圧測定機器類、次年度に人体ドナー器具を計画した。29年度11月算定が低額であったため、算定金額内で対応できる体圧測定機器の同等の機種の選定変更、および測定条件の調整をおこなった。同様に、予算内で体重可変が可能な全身体圧測定用人体ドナーの設計をおこなった。体圧測定用人体ドナーの設計が完了したため、30年度予算にて申請を行なう。入手後、測定実験の環境が整うため調査を開始する予定である。算定学内での実験機器類の変更や分割となったため、調査実験の遅延が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度前半にて、特殊体位における連続的な傾斜変化による体圧荷重分析。毛細血管が閉塞し血行が障害される30mmHgを褥瘡発生の基準として、特殊体位別の連続体圧から褥瘡危険率の算出を行なう。 1)基準となる体圧荷重分布の測定の実施。 ①仰臥位における体圧荷重の分布基準の作成(上肢外転位:肩関節を90°以内側方挙上および、上肢体幹並行位:肩関節0°)。②砕石位における体圧荷重の分布基準の作成(支脚器使用における砕石位および、レビテーター使用における砕石位)。③側臥位における体圧荷重の分布基準の作成(上肢、体幹支持面を含む)。④腹臥位における体圧荷重の分布基準の作成(上肢前側方挙上位:肩関節前側方挙上+肘関節屈曲および、上肢体幹並行位:肩関節0°) 2)特殊体位における連続体圧荷重の分布変化の測定と解析。 ①仰臥位基準とした特殊体位(上肢外転位の傾斜角度:前後±25度、左右±20度の単独および複合傾斜の連続体圧の分布変化および、上肢体幹並行位:傾斜角度:前後±10度、左右±20度の単独および複合傾斜の連続体圧の分布変化および、座位/ベンチチェア体位:股関節屈曲+10度から+60度の連続体圧の分布変化。②砕石位を基準とした特殊体位(支脚器使用:前後±30度、左右±20度の複合傾斜の連続体圧の分布変化および、レビテーター使用:前後±30度、左右±20度の複合傾斜の連続体圧の分布変化)。③側臥位を基準とした特殊体位(パークベンチ体位:上半身+20度の連続体圧の分布変化および、腎体位:上半身-20度および下肢-20度の連続体圧の分布変化)。④腹臥位を基準とした特殊体位(4点支持台使用:胸部、腸骨部と膝関節屈曲0から90度の体圧分布変化) 平成30年度後半にて、特殊体位別の連続体圧の分布変化と褥瘡危険率から算出した分析結果から、手術体位別の術中褥瘡予測指標を作成する。
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