2017 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国における下水処理DHSリアクターの機能障害の原因究明
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17H07318
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
野本 直樹 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (70802916)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 下水処理 / 開発途上国 / DHS |
Outline of Annual Research Achievements |
開発途上国向けの省エネルギー型下水処理技術として、DHS (down-flow hanging sponge) 法が開発されてきた。本法は、散水ろ床を基礎とし、保持汚泥用の担体としてスポンジを用いることを特徴とする。本法の開発途上国現地での適応性を確認するため、2基の実規模リアクターがインドに建設され、下水処理性能評価が行われた。カルナ―ル市で行われた試験では、処理水BODが10 (±6) mg/Lであったのに対し、アグラ市で行われた試験では26 (±8) mg/Lと、除去性能の低下が確認された。その原因について調査したところ、保持汚泥内に粘土質 (カオリン) および重金属等の無機物質が蓄積されていることを確認し、これらがDHSリアクターの有機物除去性能に影響を及ぼしている可能性があると考えた。そこで、本研究では、カオリンおよび重金属が下水処理に及ぼす影響について調査した。カオリン添加の影響を確認した結果、カオリン添加系、無添加系のCOD除去率はそれぞれ67(±12)%、70(±9)%であった。t検定により平均値の有意差を確認したところ、p値は0.6であり、有意差は確認されなかった。以上の結果より、カオリンの添加濃度が20 mg/Lにおいては、有機物除去性能に影響しないと考えられる。 生分解性試験の結果を下表に示す。水温25°Cおよび外気温条件下における、重金属添加系の平均COD除去率は、81(±3) %、64(±2)%であったのに対し、コントロール系では85%、75%であった。本結果より、低水温下においては、重金属により有機物除去性能が低下することが示された。本傾向は、実規模試験とも一致していることから、機能障害の要因の一つとして重金属が挙げられることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定していた濃度では、傾向が現れなかったため、ポテンシャルを確認するために追試験が必要になった。譲り受けた機器で分析をしていたが、長年使用していなかった機器であったため、精度が悪く、再分析に時間を要した。研究室立ち上げのために、学生が分析を修得するために時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
カオリンの影響の有無を明らかにするため、カオリン濃度を10倍にして試験を実施する。重金属の影響評価については、簡易スクリーニングとして、下水試験方法に沿った生分解性試験を実施したため、汚泥濃度は500mg/Lとした。他方、DHSの保持汚泥濃度は数十g/Lであるため、可能な限り近い条件で試験を実施し、影響評価を実施する。以上の様に、DHSリアクターの下水処理性能へのカオリンおよび重金属の影響を明らかにする。
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Research Products
(1 results)