2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of site-specifically lipidated antigen and DNA for cancer vaccine liposome
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17H07320
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
高原 茉莉 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 助教 (40804563)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 脂質修飾 / ペプチド / タンパク質 / 自己組織化 / バイオコンジュゲーション / 微生物由来トランスグルタミナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、部位特異的な脂質化タンパク質調製法の確立に向けた、MTG基質脂質ペプチドの合成とMTG反応 (特定のリジン (K) とグルタミン (Q) を連結する酵素反応) の最適化を研究実施計画通りに行った。MTG基質脂質ペプチド (K側) として、まずC14-MRHKGS及びC14-G3S-MRHKGSを合成し、種々のQ側基質融合タンパク質 (高感度緑色蛍光タンパク質: EGFP)とMTG反応させることで、MTG反応性を評価した。この結果EGFPのC末端にLLQG配列を融合した、LQ-EGFPが最も脂質化ペプチドと反応性が高く、脂質化ペプチドと反応させるための最適アミノ酸配列は、LLQGと判明した。 脂質化ペプチドとLQ-EGFPの複合体 (脂質化EGFP) の細胞膜係留能力を比較すると、C14-MRHKGSとC14-G3S-MRHKGSで脂質化した場合では、C14-G3S-MRHKGSで脂質化したEGFPの方が細胞膜への係留能力が高い結果が得られた。このことから、申請者は、細胞膜への係留には、G3S部位が重要と考え、G3S近傍のアミノ酸と細胞膜係留能力との関係を、新規脂質化ペプチドC14-XGnS-MRHKGS (X:任意のアミノ酸) を合成して検証した。検証した結果、GnSにおけるグリシン (G)数が増えるほど細胞膜係留能力が増大し、Xにプロリン (P) を導入して分子間の水素結合を緩和すると、細胞膜係留能力が大幅に低下した。以上より、LQ-EGFPに対するMTG反応性を十分に示すC14-GnS-MRHKGS (n = 3-5) が、自己組織化による細胞膜係留を十分に有し、脂質化ペプチドとして最適化された。また、脂質部位、MRHKGSの最小化も行い、脂質化ペプチドのさらなる改良も行った。 以上までの内容をまとめて、特許を出願し、論文としてまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画実施通りにMTG基質脂質ペプチドの合成とMTG反応の最適化を達成した。当初の予定では、FYPLQMRGのみをEGFPのQ側基質とする予定だったが、LLQGなど他のQ-tag配列も並行して検討することで、LLQG配列が脂質化ペプチド (lipid-MRHKGS) とのMTG反応性が最大隣、最適Q-tag配列であることが分かった。さらに、K側基質も、C14-MRHKGS及びC14-G3S-MRHKGSだけでなく、C14-GnS-MRHKGS、C14-PGnS-MRHKGSを検証した。検証した結果、脂質化ペプチドとLQ-EGFPの複合体 (脂質化EGFP) における細胞膜への係留には、GnSにおけるグリシン (G)数が増えるほど細胞膜係留能力が増大し、プロリン (P) を導入して分子間の水素結合を緩和すると、細胞膜係留能力が大幅に低下することを発見した。以上より、脂質化ペプチドはGnSの自己組織化によって、細胞膜係留を十分に有することで、研究実施計画では予想しなかった新たな知見を得た。 さらに脂質部位のアルキル鎖長や、コレステロール、ビタミンなどの脂肪酸以外の脂質も検証し、C18もしくはコレステロールを用いることで、細胞膜係留能力がさらに向上すること、MRHKGSを短縮化した、脂質化ペプチド配列の最適化も完了し、分子設計の最適化まで進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MTGを介したタンパク質脂質化技術を抗原に拡張し、モデル抗原である卵白由来アルブミン (OVA) の脂質化を行う 。OVAは大腸菌で組換え体が調製可能なことが報告されているので (N. Takahashi et al., Gene 1995, 161, 211-216)、最適化したQ-tag配列 (LLQG) を融合したLQ-OVAを遺伝子工学的手法で調製する。LQ-OVAは前年度で最適化した条件を元に、C18-G3S-M RHKGSもしくはC18-G3S-KとMTG反応による脂質化を行う予定である。LQ-OVAのMTG反応性が低い場合は、細胞膜へのアンカリング能力がやや劣るが、C16-G3S-MRHKGSもしくはC14-G5S-MRHKGSなどのよりMTG反応性が高い脂質化ペプチドを用いて、MTG反応効率の向上を計り最適化する。 得られたC18-OVAの構造は、動的光散乱から分子形態を評価し、C18-OVAのみで自己組織化している場合はそのまま、自己組織化していない場合は、リポソームを添加してリポソーム上にC18-OVAを係留させる。このとき、自己組織化したミセル内にアプ タマーもしくは抗体Fc標識アプタマーを封入できるか検討する。 OVA係留ミセルの分子設計が最適化された後、ミセル投与によるOVA特異的ながん細胞傷害性を検証するため、共同研究先の九 州大学後藤・神谷研究室にてin vivo概念実証を行う。
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Research Products
(6 results)