2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of CMC tori by infinite times Bianchi-Baecklund transformations
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17H07321
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
緒方 勇太 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (50800801)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 平均曲率一定曲面 / 変換理論 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、特殊なBianchi-Baecklund変換を用いた「新しい平均曲率一定(CMC)曲面の構成」を目標とした。Bianchi-Baecklund変換は、複素接線叢によるCMC曲面の変換として知られている。Bianchi-Baecklund変換は、自明なCMC曲面であっても変換後のCMC曲面は非自明なものとなり、簡単な例から複雑なCMC曲面を構成できる利点がある。また、この変換は幾何学だけでなく、可積分系理論においても有名な変換であり、ソリトン解と呼ばれるsinh-Gordon方程式の重要な解を与えることが知られている。 本研究では、無限次元リー群であるループ群の手法を用いて、ある特殊なドレッシング作用を適用することで「特殊なBianchi-Baecklund変換」を定式化し、この変換を既知のCMC曲面に適用し、新しいCMC曲面の構成を行った。ソリトン解の構成において重要であった「Bianchiの可換律」を許容しない変換として、本研究の「特殊なBianchi-Baecklund変換」は定式化されており、通常のBianchi-Baecklund変換とは違った性質をもっていると期待される。 また、この特殊なBianchi-Baecklund変換を用いることで、ソリトン解とは異なる性質をもつ「ポジトン解」と呼ばれるsinh-Gordon方程式の重要な解の構成も行った。例えば、sinh-Gordon方程式のソリトン解は周期性を持つが、ポジトン解は、周期性を持たないことを示した。ポジトン解は、他の可積分方程式(sin-Gordon方程式やKdV方程式など)では、その解の性質がよく研究されてきたが、sinh-Gordon方程式のポジトン解の性質は未解明な部分が多く、次年度以降の研究で詳しい性質を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の研究の足掛かりとして必要であった「特殊なBianchi-Baecklund変換の定式化」が終わり、いくつかCMC曲面の具体例の構成も行った。また、本研究については口頭発表を行い、論文も執筆中なので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究では、特殊なBianchi-Baecklund変換を用いた「新しいCMC曲面の構成」を行った。この特殊なBianchi-Baecklund変換は、「可換律を満たさない」など異質な性質をもつ曲面変換になっており、更なる解析が求められる。今年度は、この特殊なBianchi-Baecklund変換を複数回用いることで、変換によるCMC曲面の移り変わりを考察したい。また、この特殊なBianchi-Baecklund変換の「無限回の適用」にも研究を進めていけば、CMCトーラスとの関係も見えてくると期待される。 現状では、複数回の曲面変換を考えた先行研究は少なく、「無限回の変換」を研究する当該研究テーマは、新しい研究分野開拓の可能性を秘めている。当該研究を通して「無限回の曲面変換による曲面理論」という新しい研究分野の創出を目指し、研究活動を遂行していく。今年度は、研究計画の最終年度であるので、講演や論文執筆による自身の研究成果の発信にも力を入れていきたい。
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Research Products
(5 results)