2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the method for analyzing the start of a tsunami evacuation based on understanding behaviors in tsunami disasters
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17H07346
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
土肥 裕史 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 社会防災システム研究部門, 特別研究員 (00807282)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 津波避難 / 避難開始 / 避難行動 / 東日本大震災 / 復興支援調査アーカイブ / 避難シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
津波災害において,避難行動の開始が生き残るための第一歩であると言っても過言ではない.東日本大震災(2011年)では,死者(直接死)の9割以上が津波の犠牲になった.同震災では,公的機関からの津波警報等の情報が住民に早期避難を促した一方,死者の半数以上が十分な避難行動をとることなく死亡した可能性が指摘されている.将来,南海トラフ巨大地震により,津波による死者数は最大で22万人を超える恐れがあり,死亡率の低減のための津波対策は喫緊の課題である. 本研究では,津波災害時および津波避難訓練における人間行動を把握し,津波避難にどう影響するかを分析する手法を構築することを目的とする.具体的には,津波災害時の人間行動を整理したうえで,津波避難訓練における時空間的な行動把握手法を構築し,行動データに基づく避難開始行動プロセスを明らかにする. 2017年度(1年目)は,過去の津波災害を対象に,被災者の体験談,過去の聞き取り調査で得られた証言や統計資料をもとに,人間行動を整理・分類し,津波避難との関係性を明らかにした.具体的には,復興支援調査アーカイブおよび避難シミュレーションを用いて,東日本大震災における南三陸町志津川地区の避難開始の特徴を時空間的に分析した. その結果,(1)地震発生時にいた場所の種類によって避難開始の傾向は大きく異なり,職場・店舗にいた住民の多くが家族らを気遣い自宅に戻った後,避難を開始していたこと,(2)津波避難行動に加え,家族等を迎えに行く行動により,住民の多くが時間の経過とともに郊外へと移動していたこと,(3)その移動に伴う「逃げなければ」という雰囲気の伝播により,浸水予測エリア外においても避難を開始しやすい状況に推移した可能性があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画から変更があったものの,研究全体の進捗状況として無理なく遂行できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,計画通りに研究を推進する.
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