2017 Fiscal Year Annual Research Report
イネの厳格な限界日長応答を制御する概日時計と光シグナルの統合機構の解明
Project/Area Number |
17H07356
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小郷 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主任研究員 (90572214)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 開花 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネは、わずか30分の日長の違いを認識できるほど正確で、ON/OFFが明確な、花芽形成ホルモン(フロリゲン)Hd3a/RFT1 遺伝子の転写制御をおこなう。これまでに、この正確な計時機構の遺伝子ネットワークが解析され、Grain number, plant height, and heading date 7 (Ghd7) →Ehd1→Hd3a/RFT1というイネ特異的なカスケードとHd1の相互作用が重要であることがわかってきた。このカスケードの上流に位置するGhd7の転写制御には、フィトクロムによる光信号伝達系と概日時計との相互作用が大きく貢献していると考えられている。またGhd7は開花期だけではなく、穂の形態形成、草丈、環境応答制御にも関わっていることが報告されており、その多面的な機能は収量などの重要農業形質に大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究ではGhd7発現制御の解析を通して、イネの光と概日時計シグナルの統合機構と、開花期制御因子の多面的な機能について解析を行う。 H29年度は、Ghd7の発現制御解析に関する形質転換体を多数作製し、一部のラインについて解析を行った。高効率イネ形質転換法を用いて、Ghd7のC末端にレポーターが融合した形質転換イネを作製した。フィトクロムによるChIP解析を行うため、フィトクロム-GFPタンパク質が高発現する形質転換イネをスクリーニングし、一部のラインについて十分と思われるタンパク質の蓄積が確認された。ある程度成長したイネでChIP解析を行う必要があるため、播種後8から12週のイネについて、固定条件およびクロマチン断片化条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、Ghd7の発現制御解析のための形質転換体を多数作製し、一部については解析も行った。H29年度前半は、研究補助員が少なかったため研究が計画通りに進まなかったが、H30年1月から研究補助員を増員したため研究の効率が上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
Ghd7の転写制御に関わるゲノム部位を解析するため、H29年度に作製した多数の形質転換体について解析を行う。また、Ghd7の転写開始地点の情報を得るため、様々な抗体を用いてChIP解析を行う。フィトクロムによるGhd7の転写制御機構を明らかにするため、フィトクロム-GFPタンパク質を高発現するイネでChIP解析を行う。Ghd7タンパク質の発現と組織局在および細胞内局在を詳しく調べるため、Ghd7の下流にレポーターを融合した形質転換イネを解析する。一定の結果が得られ次第、学会発表や論文発表を行う予定である。
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