2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H07369
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小松原 晃 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 特別研究員 (70802792)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | mtDNA / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは真核細胞において大半のエネルギーを産生する細胞小器官であり、その機能を良好に保つことが正常な生命活動に必要となる。ミトコンドリアが機能するために必須である呼吸鎖複合体を構成するサブユニットの多くはミトコンドリアゲノムmtDNA上に存在する。ミトコンドリア毎に含有するmtDNAの数は異なるため発現する呼吸鎖複合体の量も一定ではないはずだが、mtDNAの動態とミトコンドリアの機能との関係については未だ未知な点が多い。本研究では、ゲノム可視化プローブをミトコンドリアに局在させた上で、所属研究室で開発されたATPバイオセンサーを使用し、生細胞中のミトコンドリアにおけるmtDNAの局在と機能のダイレクトな因果関係を調べることで、複雑な動態をもつミトコンドリアがどのようにして機能を維持しているか解明することを目的とする。 mtDNAの染色にはTALEを用いる予定であったが、難航したため近年核ゲノムを染色するのに頻用されているCas9/CRISPRシステムを使用して特定の核領域をテストしたところ、一定の精度で染色できることがわかった。ただし、染色可能な部位が未だ限定的であるため、今後はよりシグナルを得られるような条件を探していくことにする。 また、ミトコンドリア上に存在するタンパク質に蛍光タンパク質を付与し発現させてその動態を観察することに成功している。アデノ随伴ウイルスを用いる事によって、簡便に細胞に発現させることを可能にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mtDNAの染色法にTALEをもちいる予定であったが、未だ十分な染色を行えていない。代替法として、dCas9による染色を検討しており、一定の精度での染色は行えるようになった。しかしこの手法においても偽陽性および偽陰性の程度が問題となっているため、現在改善を試みている。想定していたよりもS/N比が悪いことや、外部より発現させた蛍光タンパク質が一部の細胞において顕著にクラスターを作ってシグナルに影響を与えることが確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
dCas9などのタンパク質を用いたゲノム染色法を推し進めると同時に、蛍光色素による染色もテストしていく。バイオセンサーに関しては現在使用しているU2OSにおいても使用できることを確認しているので、今後は現在行っている手法を統合していく。
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