2017 Fiscal Year Annual Research Report
神経内分泌腫瘍におけるPHLDA3のがん抑制機構の解明
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17H07378
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
滝川 雅大 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (80807834)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 神経内分泌腫瘍 / p53 / PHLDA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor; NET)は神経内分泌細胞に由来する腫瘍である。神経内分泌細胞は全身の所臓器に分布することがわかっているが、各臓器に発症するNETは希少がんであり、その解析や治療方法の確立が遅れている。本研究の目的は、ヒトNETの症例解析とモデルマウスの作製・解析を通じてNETの本態を解明することである。 本研究室ではこれまでに代表的ながん抑制因子p53の標的遺伝子としてPHLDA3を同定し、がん抑制的な働きをしていることを明らかにしてきた(Cell, 2009)。同時に、膵臓と肺のNETにおいてPHLDA3遺伝子部位での高頻度なヘテロ接合性の喪失(LOH)が観測されることを報告してきた(Cell 2009, PNAS 2014)。膵臓と肺のNETに共通してPHLDA3遺伝子に異常が頻発していたことから、全身で発症するNETにも共通してPHLDA3の遺伝子異常が観察できると予想し、様々な臓器で発症したヒトNET検体を収集・解析することを計画した。さらに、PHLDA3遺伝子ノックアウトマウスを元に作製したNETモデルマウスを解析することで組織を超えたNET共通のがん抑制メカニズムを明らかにする。本研究によってPHLDA3遺伝子の異常がNET発症と関連付けられることが明らかになれば、希少がんであるNETの発症メカニズムの解明と、その治療・診断方法の開発に繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定しているヒトNET臨床サンプルを用いたゲノム解析と、NETモデルマウスを用いた解析は順調に進んでいる。また、論文発表も順調に行なっており、現在投稿中の論文もある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、臨床医との緊密な連携のもと集めた詳細な臨床情報の付帯したヒトNET臨床サンプルを用いたゲノム解析と、NETモデルマウスを用いた解析を行い、希少がんであるNET の本態を解明する。今後以下の研究をさらに進める。 (1)ヒトNET臨床サンプルを用いたゲノム解析 膵臓・下垂体・甲状腺・副甲状腺・大腸のNETサンプルをすでに収集済みである。本研究では、これらのサンプルのゲノム解析を行う。さらにはゲノム異常と患者予後・治療薬奏功の関連の解析を行う。 (2)動物モデルを用いた解析 これまでに構築したPHLDA3遺伝子を欠損した膵NET・下垂体NETのモデルマウスの解析を行う。特にPHLDA3遺伝子異常とNETの悪性度との関連を重点的に解析する。
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Research Products
(2 results)