2017 Fiscal Year Annual Research Report
MLL-AF4キメラとその制御因子を介した白血病化メカニズムの解析
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17H07379
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
奥田 博史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 外来研究員 (10629215)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 白血病 / MLL |
Outline of Annual Research Achievements |
t(11q23)転座によってMLL融合遺伝子が形成され、その遺伝子産物であるMLLキメラの発現が予後不良のMLL白血病を引き起こす。主なMLLキメラは融合したAF4複合体(AEP)を介して転写を恒常的に活性化させ、未分化な造血細胞の自己複製を無制限に促進させる。我々はRNAポリメラーゼIの基本転写因子であるSL1複合体がAEPと結合することで、MLLキメラによる転写を活性化することを明らかにした。本研究は我々が発見したAEP-SL1複合体が転写複合体として転写を活性化するメカニズムの解明を目的とする。研究代表者はMLL-AEP-SL1転写活性化複合体に結合する新規共作用複合体としてRSBN複合体を同定した。RSBN複合体のがん化おける働きを明らかにするために、マウス造血前駆細胞不死化アッセイにてRSBN複合体因子であるRSBN1およびRSBN1LをshRNAにてノックダウンした時の影響を評価した。その結果、MLL融合遺伝子で不死化した細胞に対してRSBN1およびRSBN1Lをノックダウンすると細胞のコロニー形成能が減弱した。また、FLAGタグを付けたGAL4-AEPを293T細胞に発現させ、免疫沈降法でFLAGタグ精製すると、SL1と同様にRSBN1とRSBN1Lが特異的に結合する。そこで、FLAGタグを付けた様々なGAL4転写活性化ドメインを293T細胞に発現させ、免疫沈降法で精製しRSBN1とRSBN1LがどれほどAEP-SL1特異的に結合するのか検討した。その結果、RSBN1複合体のRSBN1とRSBN1L はAEP-SL1複合体に対して特異的に結合することが明らかとなった。このことから、RSBN1複合体はMLL-AEP-SL1転写活性化複合体の共作用因子として機能する可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者はMLL-AEP-SL1転写活性化複合体に結合する新規共作用複合体としてRSBN複合体を同定し、RSBN1複合体に含まれるRSBN1とRSBN1L はAEP-SL1複合体に対して特異的に結合することを明らかにした。さらに、研究代表者はマウス造血前駆細胞不死化アッセイにてRSBN複合体因子であるRSBN1およびRSBN1LをshRNAにてノックダウンした時の影響を評価した。その結果、MLL融合遺伝子で不死化した細胞に対してRSBN1およびRSBN1Lをノックダウンすると細胞のコロニー形成能が減弱することを明らかにした。これらの成果から、研究は計画通り進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は昨年の計画通りMLL-AEP-SL1転写活性化複合体に結合する新規共作用複合体としてRSBN複合体を同定し、MLL融合遺伝子で不死化した細胞の生存に重要であることを明らかにした。また、様々な細胞画分の解析によってRSBN1は増殖中の細胞では核外に存在する。さらに、飢餓状態や接触阻害によって増殖を抑制された細胞から精製したRSBN1はタンパク質の修飾状態が異なる可能性が示唆された。そこで今後は、RSBN複合体がどのような条件でSL1複合体に結合し機能するのかを明らかにするとともに、RSBN複合体の白血病細胞株におけるゲノム上での局在をクロマチンIP法にて解析する。
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Research Products
(2 results)