2017 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸トランスポーターSLC15A3によるマクロファージの新規活性化機構の解明
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17H07381
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
筒井 英充 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (20806822)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | マクロファージ / アミノ酸トランスポーター / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸トランスポーターSLC15A3が免疫疾患の病態形成とマクロファージの機能分化に果たす役割を明らかにすることを目的として、SLC15A3欠損マウスを用いてマクロファージ関連自己免疫疾患である多発性硬化症のマウスモデルEAE(Experimental Autoimmune Encephalomyelitis)について病態の検討を行った。その結果、SLC15A3欠損マウスでは同腹子の野生型マウスに比べ発症が少し早い傾向が認められた。しかしながら臨床スコアの重症度では野生型とSLC15A3欠損マウスの間で差異は認められなかった。EAEにおいてその病態形成にマクロファージの活性化が重要なため、in vitroの系においてSLC15A3欠損がマクロファージの分化へ及ぼす影響についても検討を行った。野生型マウスとSLC15A3欠損マウスの骨髄細胞をM-CSFまたはGM-CSFで7日間培養し、マクロファージを誘導した。CD11bやF4/80、MHC class2、CD86といったマクロファージの表面マーカーの発現量は野生型と欠損型でほぼ同等であったことから、マクロファージへの分化は正常だと考えられた。骨髄から誘導したマクロファージをIL-4でM2マクロファージへ誘導したところ、野生型マクロファージにおいてSLC15A3の発現量はあまり変動がないもののSLC15A3欠損マクロファージではArg1やMrc1といったM2マーカーの発現の減弱がみられた。一方でマクロファージにLPSやCpGを投与しM1マクロファージへ誘導したところ、SLC15A3欠損マクロファージにおいてTNFやIL-6といったサイトカインの産生量の増加が見られたことから、SLC15A3はマクロファージの炎症応答において抑制的に働いているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は免疫疾患の病態形成におけるアミノ酸トランスポーターSLC15A3の機能を明らかにし、SLC15A3を免疫疾患の治療標的としての検討を行うことである。予備検討においてSLC15A3欠損マクロファージでは野生型に比べ活性化マーカーの上昇が低かったことから、マクロファージが抗原提示細胞、エフェクター細胞として機能するEAEモデルでは、SLC15A3欠損マウスでは野生型に比べ症状が緩和するものと予想していた。しかし、予想とは異なりSLC15A3欠損マウスでは同腹子の野生型に比べ発症が早く、また臨床スコアの重症度は差異が認められなかった。そのため現在はEAEモデルでのSLC15A3の機能を解析しつつ、他の炎症性自己免疫疾患モデルを用いてSLC15A3が治療標的と成り得るのか検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
EAEモデルの他にもマクロファージの関与する疾患モデルを用いてSLC15A3が病態形成に寄与するモデルを探索していく。そのうちの一つとしてII型コラーゲン誘導型関節炎モデルでの検討を予定している。野生型及びSLC15A3欠損マウスをII型コラーゲンとCFAで免疫し、関節炎を誘導する。関節炎の発症率、関節炎スコア、血清TNF濃度などで差が見られるか検討する。SLC15A3欠損マウスと野生型で病態に有意な差が見られた場合は浸潤細胞、特にマクロファージに着目しTNFやIL-1bの産生量の解析を行い、SLC15A3がどのようにして病態形成に関与しているか検討していく。 また、他の炎症性自己免疫疾患のモデルとして、プリスタン誘導性SLEモデルも予定している。SLEモデルではTLR7を介したIFNの産生が病態形成に重要だと言われており、SLC15A3はTLR7と同じくライソゾーム上に発現すること、SLC15A3はNF-kB依存的に発現上昇することが報告されており、TLR7で活性化したマクロファージにおいてSLC15A3の発現の上昇することが推察される。SLC15A3欠損マウスと野生型マウスにプリスタンを腹腔投与し、自己抗体の抗体価や尿蛋白量を比較し、差異が認められた場合はB細胞や抗原提示細胞、マクロファージや樹状細胞に着目し、SLEにおけるSLC15A3の機能を解明していく。
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