2017 Fiscal Year Annual Research Report
環境モデル獲得に基づくヒューマノイドロボットの未知環境適応全身移動計画法の実現
Project/Area Number |
17H07391
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
熊谷 伊織 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (60803880)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ヒューマノイドロボット / 環境記憶 / 足配置計画 / 障害物回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は障害物を含む狭隘環境内の移動行動実現のため, 障害物回避に用いるための環境計測技術を開発し, 移動精度向上を目的とした足配置補正・再計画手法を実現した. 障害物回避のための環境点群積算と, 足配置計画及び補正のための高精度かつ密な地面点群生成を併せて行うことが可能な環境計測手法を足配置計画と統合することで, 事前に計画した大域歩行計画をオンラインで補正し必要に応じて歩行中に再計画を行う移動行動システムを実現した. 特に高精度かつ密な地面点群生成においては平面推定と空間補間による高密度高精度化を行うことによりロボットの移動中においてもオンライン足配置補正に十分な精度の路面点群を獲得することが可能となった. また開発したシステムは記憶した障害物点群との干渉を移動計画時のみでなく移動中にオンラインで考慮し, 歩行計画をオンラインで補正することが可能である. 自己位置推定誤差から足配置を補正するだけでなく, 環境記憶情報に基づいて補正後の足配置の実現可能性を周囲の障害物との干渉及び路面状況からオンラインで自律的に判断し必要に応じて大域歩行計画を再計画するといったエラーリカバリを行うことで障害物の存在する建設現場のような環境でも適応的に移動行動が実現できる. 本システムによって, 視界が制限され通常の移動行動と比べて歩行誤差が拡大する障害物回避・重量物搬送タスクを事前情報のない未知環境で行う場合においても適応的な環境計測と移動計画を行い, 移動補正を伴うタスク実行が可能となった. 本研究により実現された自己位置推定, 環境記憶及び干渉回避移動計画の統合システムはヒューマノイドロボットを用いた実証実験により検証を行うとともに, 成果をまとめて現在国際学会(IROS2018)に投稿・査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は障害物を含む狭隘環境内における移動行動の実現を優先し, 主に次年度に予定していた環境モデル獲得技術の基盤となる環境記憶システムを歩行計画に統合するともに, ヒューマノイドロボットのの歩行誤差の問題を解決するための足配置補正技術開発を行った. 当初の予定では環境計測情報に基づく全身の姿勢計画を考慮した干渉回避計画法を開発する予定であったが, 実際にロボットが移動行動を実現するためには移動計画のみでなくヒューマノイドロボットの移動誤差の問題が大きく影響することから, 当初の予定に加えて環境記憶情報に基づく移動補正システムの開発が必要であった. この移動補正技術により現実世界においてヒューマノイドロボットが事前知識のない未知環境で障害物を認識し, 歩行誤差を補正しながら移動することが可能になり, 建設現場模擬環境での障害物回避・重量物搬送タスクが実現された. 一方で本年度予定していた全身動作計画を考慮した障害物回避計画の開発状況は歩行計画及び補正時に全身をひとまとめの直方体形状に近似した簡易的な干渉回避計画を行う手法の導入に留まっているため, 引き続き次年度の前半に全身の干渉回避動作計画法の開発を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前期はヒューマノイドロボットの全身干渉回避動作計画手法を開発することに重点を置く. 前年度に確立した干渉回避歩行計画における単一の直方体形状を用いた身体モデルの近似手法を直方体モデルの階層構造として拡張し, 干渉回避のために最低限必要な部位についてのみ動作計画を行うことで, 全身動作計画の計算コストを低減しオンラインの移動補正手法と統合可能であると考えている. その後, 中期に周囲環境地図から環境モデルを獲得するモデル推定手法を開発する. 前年度開発した環境記憶手法に環境構造のヒューリスティクスを応用することで移動計画に必要十分な情報を持つプリミティブな形状モデルを獲得し, 事前のモデル情報を前提としない環境モデル獲得手法を実現する予定である. 後期には干渉回避可能な全身移動計画法とプリミティブな環境モデル獲得手法を統合し, 目標とする未知環境適応全身移動計画システムの構成法を明らかにする.
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