2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Railway Operation Assistance System for Safety of Vehicle with Wireless Power Transmission Device
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17H07407
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Research Institution | National Traffic Safety and Environment Laboratory |
Principal Investigator |
渡邉 翔一郎 独立行政法人交通安全環境研究所, その他部局等, 研究員 (40807294)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 電気鉄道 / 省エネルギー / リアルタイムマネージメント / ユーザインタフェース / 制御工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非接触給電装置及び蓄電装置を搭載した車両を対象に、列車状況(電池残量等)に応じてリアルタイムに省エネルギーな走行パターンを導く計算法を考案し、その計算結果に応じた運転操作及び操作タイミングを運転士に提示する運転支援法を提案することを目的としている。平成29年度は現有設備である運転シミュレータに外部演算装置を追加し、列車状況から電力・エネルギーと走行パターンを計算できるようにし、その計算結果を検証する実験を行った。 この外部演算装置は、運転シミュレータと相互に通信し、実験データをリアルタイムに取得し、数値計算をすることができる。この数値計算では、運転シミュレータから受信したデータを用いて、列車の消費電力と電力量(エネルギー)の計算及びモータ駆動性能に基づく車両加減速性能の計算ができるように、アルゴリズムを実装した。これにより、蓄電装置の残量を算出し、さらにその残量に応じたモータ駆動性能の変化を演算することができるようになり、車両加減速性能の変化として運転シミュレータにフィードバックすることができるようになった。 これらの機能を検証するため、外部演算装置を追加した運転シミュレータによる実験を行った。実験では、列車が何らかのトラブルにより駅間で停車した場合を想定し、停車地点から次の駅まで最も少ない消費エネルギーで到達するために必要な走行パターンの計算をリアルタイムに行った。列車が停車している間、空調や照明により時々刻々と蓄電装置の残量が減り、車両性能が変化するが、その変化に応じて走行パターンを導出できることを確認した。 今後、さらに数値計算の精度やアルゴリズムの検証を深度化し、列車状況や状況に応じた省エネルギーな走行パターンを運転士に伝えるインタフェースを準備するとともに、運転支援の効果を評価すること等により、本研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書では平成29年度に次の2つの事項を計画していた。 (1)現有設備の運転シミュレータに外部演算装置を追加して、シミュレータ上の車両の電力とエネルギーを計算する機能を実装すること (2)状況に応じてリアルタイムに最適な走行パターンを出力すること 外部演算装置は、現有設備の運転シミュレータとデータ通信を行う必要があり、情報通信と信号処理の実装に時間を要したが、年度内に必要なデータ通信ができる環境を整えることができた。また、過去の研究で培った知見を活かして、車両の電力・エネルギーと蓄電池残量の低下による電気機器性能の低下を模擬した車両性能を計算する機能を外部演算装置に実装することができた。データ通信により運転シミュレータから取得した情報を用いて、走行パターンをリアルタイムに計算するアルゴリズムも実装することができた。そして、外部演算装置を追加した運転シミュレータによる実験を行い、上記2点について検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、リアルタイムに最適な走行パターンを出力することができるようになったので、この出力結果を検証しつつ、運転士に対する必要な支援情報を検討し、運転士に支援情報を提示する運転支援装置を制作する。運転支援装置を用いた実験を運転シミュレータで行い、情報の適切性やヒューマンマシンインターフェースに関する評価を行う。さらに、列車が停車した地点から蓄電装置電力により次駅に到達するまでに要する消費電力やエネルギー等を評価指標として、運転支援の効果の評価を進めていく。
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