2017 Fiscal Year Annual Research Report
パネルフラッタによる超音速境界層の乱流遷移メカニズム解明に基づく新境界層制御法
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17H07414
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
田口 正人 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 助教 (70806794)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 境界層遷移 / 超音速流れ / 流体構造連成問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,航空機の表面に形成される境界層の乱流遷移を抑制するための新しい制御方法を提案することである.これを達成するため,壁面に設置されたパネルの振動(フラッタ)現象を利用する.簡単化された平板モデルについて風洞実験を行い,パネルフラッタによる境界層遷移の抑制効果を実験的に確かめる. 当初の計画では,初年度は以下の項目を行う予定であった.即ち,①実験模型の作製,②試験気流条件の選定,③パネル境界条件による境界層遷移抑制効果の調査,の3項目である.本年度に達成された項目は①と②である.③のパネル境界条件に関する調査は,現在実施中であり,遷移抑制効果を確認するには至っていない. ①では,当初計画以上の性能を有する実験模型を作製することが出来た.パネルには振動を検知する歪ゲージに加えて内部圧力を調整する機構を取り付けたことで,パネル外部の試験気流による圧力変化に対してパネル内外の差圧を除去することが出来るようにした.また,当初計画よりも広帯域の周波数の圧力変動をとらえるため2種類の圧力センサを採用し,境界層内の圧力変動の計測性能を向上させた.②の試験気流条件選定は,当初使用を予定していた超音速風洞の不調により使用する設備を変更したため,試験気流総圧によるレイノルズ数の制御が困難となった.超音速気流を生成するため代替設備として破膜式のLudwieg tubeを採用したため,試験気流レイノルズ数の制御は隔膜の変更により行うこととした.現段階でいくつかの有用な気流条件を選定し,今後実施する『③パネル境界条件の調査』において必要があれば,気流条件の選定も継続して行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で使用を予定していた超音速風洞の不調により,超音速気流生成のための代替装置(Ludwieg tube)を整備する必要が生じた.そのため,現段階での進捗は当初計画よりもやや遅れている.初年度の研究期間が半年間であったこともあり,Ludwieg tubeの整備(超音速ノズル作製,センサ系統配線,模型支持部作製など)に費やした期間が初年度の研究遂行のうち大きな割合を占めた.結果として,初年度に行う予定だった風洞試験におけるパラメトリックスタディを完了するに至らなかった.ただし,超音速気流発生装置の変更は本研究の遂行に対して重大な困難を生じるものではなく,想定外の時間を費やす必要が生じたのみである.したがって,これは研究遂行自体を不可能にするものではない. 研究の進捗状況として,気流発生装置の整備に予期せぬ時間を要したが,その他の事項については当初計画に沿って直実に実施することが出来た.初年度に達成できなかった事項については,次年度に繰り越して実施することで達成できる見込みである. 以上から,現在の進捗状況はやや遅れていると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の後半に実施予定であった,パネル境界条件についての実験を引き続き次年度に繰り越して実施する.パネル境界条件に関するデータは,次年度に予定している境界層遷移制御実験に必要な大元のデータベースとなるため,本研究の最も重要な段階の一つである. データベースを取得した後は,次年度の当初計画に従い,境界層遷移の制御方法及びその制御パラメータの探究を行う.制御方法は,能動的制御と受動的制御の二つの方式を軸に,最適な手法を提案する.また,本研究の最終的な目標である境界層制御のロバスト性に関して調査を行い,パネルフラッタによる境界層制御の特性を理解する.
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