2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 順子 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | Synaptotagmin B / 腸管神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋肉組織に発現するTroponin Iのシグナル検出を通して、ウニ腸管運動に関わる因子の解明を行った。その中で、脊椎動物等において知られている一酸化窒素による幽門括約筋の弛緩が、ウニ胚でも同様に見られることが明らかとなった。一酸化窒素が幽門括約筋に影響するメカニズムがウニと脊椎動物とで一致するものなのかは現在検討中であるが、ウニ胚の消化メカニズム解明を行う上での糸口を見つけることができた。 また、ウニ胚4日目の4腕プルテウス幼生期に腸管の神経細胞が存在することを、Synaptotagmin B抗体により確認した。一部の神経はアクソンを伸長するなど、神経としての特徴を明確に保持していることが確かめられ、Synaptotagmin B以外の神経細胞特異的因子の発現もみられた。現在、その存在と特徴をまとめ、論文投稿準備を進めている。また、腸管の動きは様々な神経伝達物質等の影響を受けることもモルフォリノアンチセンスオリゴ、または阻害剤や拮抗剤等を用いることで確認されたが、腸管神経系における神経伝達物質受容体の検出成功には至らなかった。理由として、腸管内の神経細胞数が非常に少ないことからそこに存在する受容体の発現も極めて少量である可能性が高く、通常のin situ hybridizationでは検出が困難であることが考えられた。現在、in situによる検出条件、および別な手法を用いての検出を検討中である。総じて本年度は、中枢神経が腸管神経系に与える影響を解明する土台作りを着実に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウニの腸管の形態や機能に関する研究はこれまでほんとんど報告がない中で、ウニの腸管神経の検出に成功するなど、着実に研究を進めることができた。腸管の機能に関わる神経伝達物質もいくつか示唆されつつありその点に関しては非常に順調に進んでいるが、神経伝達物質の受容因子の発現パターン検出はまだ成功していない。期待していた以上の結果が得られた部分と、計画より遅れを取っている部分があるが、2年目以降の研究計画を進める上では十分な成果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
神経伝達物質の受容因子の検出を継続して行いながら、計画通りに2年目の研究を推進していく。腸管の神経細胞の由来探索はすでに取り組み始めており、今後も順調な成果をあげることができると考えている。当初から計画している腸管機能に神経伝達物質セロトニン等がどのように関与しているのかについても、セロトニン投与実験等をすでに始めており、今後も予定通り順調に研究を推進できると考えている。
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