2017 Fiscal Year Annual Research Report
三級アミドの立体特性を活かした芳香族アミドオリゴマーの創製と分子認識への応用
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17J00036
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
漆原 紅 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 三級アミド / らせん分子 / マクロサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、芳香族三級アミドのcis型優先性という独自の立体特性を利用することで、らせん状、環状オリゴマーを創製し、その立体挙動の解析および分子認識能の検討を行うことを目的としている。本年度は、らせんオリゴマーについて、二級アミド結合と三重結合をリンカーにもつ2種類のオリゴマーの分子認識能を解析した。また、環状オリゴマーについては、新規大環状オリゴマーを創製し、その立体構造解析を行った。 らせんオリゴマー:これまでゲスト分子の包接現象は、誘起CDの測定により評価していたが、CD測定は低濃度で行うため包接していても観測できていない可能性があると考え、NMR測定により評価することとした。二級アミド結合をリンカーにもつタイプ1のオリゴマーに対しては、水素結合による包接を期待し、糖誘導体やアニオンを添加した。アミド結合のNHと何らかの相互作用をしていることは化学シフトの変化より示唆されたが、糖誘導体ではその変化が小さく、またアニオンの場合も会合様式は解明できなかった。三重結合をリンカーにもつタイプ2のオリゴマーに対しては、アニオン、カチオン、テルペン類を添加し、NMR測定を行った。その結果、アニオンを添加した際、化学シフトの変化が起こり、1.5巻きしていると考えられる4量体のオリゴマーで最も強く相互作用していることが示唆された。 環状オリゴマー:三級アミド結合の導入位置と数を検討し、2量体から7量体までの種々のオリゴアミドを合成した。その環化縮合反応の結果、新たに環状5, 6, 7量体を得ることに成功した。X線結晶構造解析より、それらは全て部分的にらせん構造を持ち、環状分子という構造の自由度が制限されている状況にも関わらず、らせん構造を最大化するような立体構造をとることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、二級アミドと三重結合をリンカーにもつらせんオリゴマーのゲスト分子の探索を行った。また、エーテル結合と二重結合をリンカーにもつオリゴマーの創製も行う予定であったが、先のらせんオリゴマーの包接現象の結果を踏まえて、再設計することとした。環状オリゴマーは、新規化合物を3つ創製することができ、その全てにおいて立体構造解析に成功し、今後の研究方針に役立つ結果が得られている。以上のことから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
環状オリゴマーについて、環状5, 7量体がキラルであったことから、まずはその光学特性を調べるべく、光学分割とCD測定を試みる。また分子認識については、どの環状オリゴマーも予想に反し、十分な内部空間をもってはいなかったが、ゲスト分子との相互作用によりコンフォメーションを変化させることを期待して、水素結合能による様々なゲスト分子の包接を検討する。
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