2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00085
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
飛田 尚重 東京女子医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / 遺伝子 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象疾患である拡張型心筋症(DCM)は左室の収縮力低下・拡大を特徴とするび漫性の心筋疾患であり、未だ治療法が確立していない難治性心疾患の一つである。多くのケースで遺伝子変異が原因になり発症するとされるが、DCMという1つの臨床病型を形成する遺伝子は数十以上と多岐に渡っており、原因遺伝子の変異情報の蓄積及び実際の臨床所見との比較が不十分である点が問題である。さらに、DCMには既知遺伝子の変異が存在しない症例も存在する点も問題である。 次世代シーケンサーを用いて、心筋症の既知遺伝子を含む95遺伝子の変異を同定するシステムを構築し、遺伝子型の解析及び表現型との統合解析を行った。遺伝子型解析では、本邦における120家系のDCM遺伝子型分布を明らかにし、疾患原因と考えられる多くの新規変異を同定している。遺伝型と表現型の統合解析を行ったところ、TTNのtruncation変異を有する群で死亡や心移植、致死的不整脈といったイベントが少なく、治療反応性が優れている一方で、LMNA変異を有する群ではイベントが多く、治療反応性が乏しいということを見出した。 また、家族性DCM患者を対象に全エクソーム解析(WES)を実施して新規原因遺伝子候補として心筋ミオシン軽鎖キナーゼ(cMLCK)をコードするMYLK3遺伝子の変異を独立した2家系(発症者5名)において同定した(リードスルー変異とキナーゼドメインにおけるフレームシフト変異)。HEK293T細胞を用いて機能解析を行ったところ、両変異ともcMLCK蛋白の分解亢進・顕著な発現低下を誘導し、cMLCKが標的とする心室型ミオシン軽鎖(MLC2)のリン酸化減弱を生じることを見出した。MLC2リン酸化を直接制御するMYLK3遺伝子が心筋症の原因であることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、次世代シーケンサーを用いて拡張型心筋症(DCM)の既知遺伝子解析を行い、遺伝子型の解析及び表現型との統合解析を行った。結果、TTNのtruncationおよびLMNA遺伝子と予後、治療効果との関連を見出しており、DCMの予後評価、治療最適化、重症化予防に寄与することが期待される。 また、家族性DCM患者を対象に全エクソーム解析(WES)を行い、心筋ミオシン軽鎖キナーゼ(cMLCK)をコードするMYLK3を新規原因遺伝子として同定することに成功した。HEK293T細胞を用いた機能解析を行った結果、同定した変異によりcMLCKの標的である心室型ミオシン軽鎖(MLC2)のリン酸化減弱が生じることを見出した。 以上により、DCMの遺伝子型解析、表現型との統合解析を行い、新規原因遺伝子を同定したという点からおおむね順調な進展があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で同定したMYLK3遺伝子変異をさらに詳細に解析するために、現在は疾患特異的iPS細胞および遺伝子改変マウスを作成中である。今後、これらのモデルを用いて表現型の解析や変異によりDCMを発症する機序について解析を行う予定である。
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[Journal Article] Genetic basis of cardiomyopathy and the genotypes involved in prognosis and left ventricular reverse remodeling2018
Author(s)
Tobita Takashige, Seitaro Nomura, Takanori Fujita, Hiroyuki Morita, Yoshihiro Asano, Kenji Onoue, Masamichi Ito, Yasushi Imai, Atsushi Suzuki, Toshiyuki Ko, Masahiro Satoh, Kanna Fujita, Tsuyoshi Shiga, Yasushi Sakata, Yoshihiko Saito, Seiji Takashima, Nobuhisa Hagiwara, Hiroyuki Aburatani, Issei Komuro
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 8
Pages: 1998
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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