2018 Fiscal Year Annual Research Report
格子の理論を用いた可積分な微差分方程式の解の性質とその応用に関する研究
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17J00092
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中園 信孝 青山学院大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 離散可積分系 / 離散パンルヴェ方程式 / 多胞体上のコンシステンシー / 離散正則関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,可積分な非線型常微分・差分方程式の族であるパンルヴェ系と多胞体上に定義される可積分な2次元偏差分方程式について,以下の2つの課題を中心に研究を行った. (1)立方八面体上のコンシステンシーを持つ2次元偏差分方程式の分類. 離散パンルヴェ方程式は初期値空間と呼ばれる有理曲面により分類されることが知られている.その分類の中で上位に位置するA2型の加法型離散パンルヴェ方程式は,立方八面体上に定義されるある連立2次元偏差分方程式から周期簡約によって導出できることが私の平成29年度までの研究で明らかになっていた.本研究では,立方八面体上に定義される2次元偏差分方程式のコンシステンシーの理論を構築し,同様のコンシステンシーを持つ2次元偏差分方程式の分類を行った.平成31年度は,引き続き立方八面体上の2次元偏差分方程式について可積分性および解の性質などについての研究を行っていく予定である. (2)Hexagonal Circle Patternsを持つ離散正則関数. Schramm型のCircle Patternsを持つ離散べき関数が第6パンルヴェ方程式のタウ関数の理論から導出できることが知られている.また,平成29年度までの私の研究によって,この離散べき関数はAdler-Bobenko-Suris(ABS)方程式の背後にある立方体の対称性を用いて構成できること,また,その対称性が第6パンルヴェ方程式のタウ関数の理論から導出できることが分かった.本研究では,Hexagonal Circle Patternsを持つ離散正則関数についても,ガルニエ系(パンルヴェ方程式の多変数版)のタウ関数の理論から導出できること,ABS方程式の背後にある超立方体の対称性を用いて構成できること,その対称性がガルニエ系のタウ関数の理論から導出できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,「立方八面体上のコンシステンシーを持つ2次元偏差分方程式の分類」および「Hexagonal Circle Patternsを持つ離散正則関数」についての研究に取り組み,十分な成果を得ることができた.この2つの研究の結果の一部を論文の形にまとめて論文誌に投稿予定である.また,申請者のこれまでの楕円型離散パンルヴェ方程式についての研究成果を「A review of elliptic difference Painleve equations」の題目で分担執筆による本「Nonlinear Systems and Their Remarkable Mathematical Structures: Volume 2」にまとめた.
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Strategy for Future Research Activity |
離散パンルヴェ方程式は初期値空間と呼ばれる有理曲面により分類されることが知られている.今年度までの研究で,その分類の中で上位の曲面であるA2型の加法型離散パンルヴェ方程式が立方八面体上に定義される偏差分方程式の簡約から導出できることを明らかにした.また,立方八面体上の偏差分方程式の理論はまだ整備されていなかったため,立方八面体上に定義される偏差分方程式の分類についての研究を行った. 来年度は引き続き立方八面体上の偏差分方程式の分類,可積分性などについての研究を行っていく予定である.また,より上位の曲面であるA2型の乗法型離散パンルヴェ方程式と多胞体上に定義される2次元偏差分方程式との関係についても研究を行っていく予定である.
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Research Products
(6 results)