2017 Fiscal Year Annual Research Report
Thermodynamic investigation into low temperature electronic state of organic superconductors
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17J00096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今城 周作 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 超伝導 / 熱測定 / 有機導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では有機超伝導体の低温電子状態を議論するために熱測定を主体とした物性測定への装置開発、および測定を行った。装置の開発という点においては、いくつかの改良によって微小試料用角度分解熱量計という、100マイクログラム程度の微小単結晶でも断熱空間で熱容量の磁場角度依存性を測定できる装置を開発することに成功した。他にも熱電効果の測定装置開発なども行なった。 測定では①dimer-Mott系②non-dimerized系と呼ばれる有機超伝導体を中心に研究を行った。①のdimer-Mott系は有機分子が二量体を作ることで半充填バンドを作っていると見做せる系であり、電子相関が強い場合はそのdimerにスピン1/2が局在したMott絶縁体となることが知られている。本研究では、そのMott絶縁相に相図上で隣接した超伝導の測定を行った。熱容量から線形の低エネルギー励起構造や波数空間上で四回周期をもった対称性が検出され、この系の超伝導がd波超伝導であることを明らかにした。また、その対称性の位相が格子形状に影響されて変化することを発見し、理論研究との整合性からこの系の超伝導が反強磁性スピンのゆらぎによって発現していることがわかった。 ②のnon-dimerized系では①の系と異なり、二量化がないために1/4充填バンドを形成すると知られている。このような系ではスピンの自由度がなく、電荷の自由度が重要と考えられている。この系の超伝導の測定を行なったところ、①とは異なり、低エネルギー励起構造が抑制される振舞いが見られた。一方で四回周期をもつことから異方的であることはわかり、これらの結果から拡張s波という状態が成り立っている可能性が示唆された。この対称性は電荷ゆらぎを媒介にした超伝導がもつ可能性が理論的に予想されており、この系の超伝導が電荷の自由度に起因していることがわかった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(18 results)