2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重富 健太 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | タイトジャンクション / ZOタンパク質 / 脂質 / クローディン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はタイトジャンクション(Tight junction,TJ)の形成機構の解明を目的に、TJを構成する脂質によるTJ形成機構の解明を進めてきた。我々の体や器官の表面を覆う上皮細胞のシートは、体内と外界を隔てるバリアとして機能する。TJは、この上皮細胞の最もアピカル側に存在する細胞接着構造であり、膜貫通タンパク質クローディン同士が隣接細胞間で結合することにより、形成される。TJは、体内と体外を隔て、体内からの物質の流出や体外からの病原菌の侵入を防ぐバリアとして機能する。これまでのTJに関する研究は、タンパク質に関する研究が主体であり、TJを構成する脂質に関しては、理解が進んでいない。TJの形成機構を解明するためにはタンパク質、脂質を統合的に解析する必要がある。そこで、TJの細胞膜領域を単離し、質量分析を用いて、脂質組成を調べたところ、脂質分子種YがTJに集積していることを見出した。この脂質分子種Yの量を低減させた細胞では、TJが消失した。興味深いことに、この細胞に脂質分子種Yを培地に添加することによってレスキュー実験を行うと、20分程度で、TJの形成が急速に回復していく様子がライブイメージングにより観察できた。また、脂質による制御機構の解明だけでなく、クローディンの裏打ちタンパク質であるZOタンパク質に関しても解析を進めている。 今年度は、脂質の解析においては、野生型の細胞においても、脂質YがTJの形成に重要であることを見出した。また、ZOタンパク質の解析に関しては、ZOタンパク質に結合する新規タンパク質を同定し、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質に関する研究に関しては、野生型の細胞においても脂質分子種Yは、TJ形成に重要な働きを担うことを確認した。現在、これまでの結果を学術誌に投稿中である。 また、ZOタンパク質に関する研究に関しては、ZOタンパク質に結合する新規タンパク質を同定し、解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質に関する研究では、研究計画にあるように、今後は人工脂質二重膜を用いたTJの再構成実験を行っていきたいと考えている。また、ZOタンパク質に関する研究では、ZOタンパク質に結合する新規タンパク質の機能解析やZOタンパク質によるTJ形成への関与を詳細に解析していきたいと考えている。
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Research Products
(5 results)