2017 Fiscal Year Annual Research Report
銅触媒による炭素-水素結合切断を鍵とする含窒素複素環化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
17J00349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高松 一貴 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | C-H結合活性化 / 脱炭酸カップリング / 含窒素複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
「銅触媒による炭素-水素結合の切断を鍵とする含窒素複素環化合物の合成」を目指し、今年度は脱炭酸カップリングを利用した、銅塩による芳香環化合物の直接官能基化反応の開発を試みた。我々はこれまでに、安価で取り扱いが容易な銅塩存在下、8-アミノキノリン型の二座型配向基を有するアレーン類とアゾール類の炭素-水素結合切断を伴う直接的ビアリールカップリング反応が進行することを見出している (Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 9896.)。しかし、そのカップリングパートナーは比較的酸性度の高いアゾール類に限られていた。そこで、本研究では基質の適用範囲の拡張を目指し、脱炭酸カップリングに注目した。その結果、銅塩存在下、アミノキノリン型の二座配向基を有するベンズアミドとオルトニトロ安息香酸を用いると、炭素-水素結合の切断を伴う脱炭酸アリール化反応が進行し、ビアリール骨格を効率的に構築できることを見出した (Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 5353.)。本反応により得られるニトロ基を有するビアリール生成物は、更なる変換を行うことによって、カルバゾールやN-Hフェナントリジノン、フェナントリジンなど、様々な有用含窒素複素環化合物へと変換することができた。更に、炭酸カリウムを添加することで、脱炭酸C-Hアリール化と、続く環化反応が進行し、フェナンスリジノン誘導体を一挙に合成できることも見出した。また、反応機構に関する研究を行ったところ、二座配向基は脱炭酸過程にも必須であることを突き止めた。この形式の反応は、貴金属であるパラジウムを用いても未だ達成されておらず、銅塩特有の新たな反応性を開拓したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した脱炭酸カップリングを利用した、銅塩による芳香環化合物の直接アリール化反応の開発を試み、その反応について詳細な研究を行った結果を国際学術誌に掲載することができた。 また、脱炭酸アルキル化反応の開発や関連する含窒素複素環合成を試みた結果、それらの反応についても学術誌に報告することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は銅塩による脱炭酸カップリング反応の更なる基質適用範囲の拡張、および銅塩の触媒化を目指す。 また、これまで開発してきた反応では、二座配向基が必須であることや、銅塩を量論量用いる必要がある場合があるなどの欠点があったため、適切な配位子設計などを行うことで、高活性かつ触媒回転が容易な銅触媒系を見出し、二座配向基を必要としない銅触媒反応の開発も目指す。
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Research Products
(11 results)