2018 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復機構の破綻に伴う大腸癌のゲノム・エピゲノム解析
Project/Area Number |
17J00386
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 一仁 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 融合キナーゼ / メチル化 / DNAミスマッチ修復 / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロサテライト不安定性(MSI)とは、腫瘍組織のマイクロサテライト反復配列が、DNA複製エラーを修復する機能の低下により正常組織のそれと異なる反復回数を示す現象である。1塩基反復配列マーカーであるBAT25,BAT26を含む計5マーカーのうち、2個以上がMSIであれば高頻度MSI(MSI-H)と米国国立癌研究所は定義している。 本研究ではBAT25,BAT26がMSIである大腸がん(CRC)149例に対し全エクソン解析,メチル化解析,RNA解析,予後解析を行った。 MSI-H CRCはリンチ症候群(LS)、MLH1メチル化群(MM)、ミスマッチ修復遺伝子の体細胞変異を有するリンチ様(LL)の3群に分類でき、LLは欠失挿入変異が少なく、KRAS,APC,PIK3CA変異が多く、BRAF(V600E)やRNF43変異は少なかった。右側大腸に多いのはMMであり、LS/LLは左右均等に分布していた。MMのうちKRAS/BRAF野生型の約半数(11/20)に治療標的となり得る融合キナーゼが同定され、融合キナーゼを有する患者は再発後の予後が不良であった。 融合キナーゼは全大腸癌の2%未満とされているが、本研究で融合キナーゼがKRAS/BRAF野生型MMの約半数に存在したため、症例を追加して検討した。まず従来のMLH1メチル化測定法に代わり、MMを簡便かつ安価に分類する手法「MLH1メチル化アッセイ」を開発した。 追加コホートのMSI-H CRCをMLH1メチル化アッセイとサンガー法により絞り込んだところ、KRAS/BRAF野生型MM CRC 4例のRNA解析を行っただけで新たに2例の融合キナーゼを同定した。 融合キナーゼを標的とした治療がMSI-H CRCの予後改善をもたらす可能性が示唆され、MLH1メチル化アッセイはLS/LLを除外し、融合キナーゼの候補を絞り込むために有用と考えられた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)