2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J00443
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金築 康友 立命館大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 流体シミュレーション / 粒子法 / 流体追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究計画では、流体の流れ場が与えられた際に、その一部分の領域の流体のみに粒子法と呼ばれる流体計算手法を適用する技術を明らかにすることであった。この技術開発によって、粒子法の欠点である計算速度を補うことができるため、大規模な流れ場での流体追跡の高速化を行うことが期待できる。 平成29年度の研究計画に対して、以下の通り研究成果を得ることができた。 部分粒子法の開発と評価検証: 与えられた流れ場の内、一部分の領域のみに粒子法を適用する部分粒子法の定式化方法を明らかにした。粒子法では計算領域全体を粒子で表現して流体の動きを計算する必要があったが、提案手法では計算領域の一部分のみに粒子法を適用できる。提案手法で計算した結果と解析解を比較することによって複数の状況で提案手法が妥当な結果を与えることを確認できている。 部分粒子法の高速化技術: 粒子法では流体を粒子で表現して計算を行う必要があるが、入力の流れ場は一般的に粒子で表現されていない。本研究では、流れ場の情報を粒子法の粒子に伝達するために、流れ場の情報を持った仮想的な粒子を生成することで部分粒子法を実現していた。研究を行っていく過程で、この仮想的な粒子の生成を流体の計算ステップ中に行うと計算速度が低下してしまう問題が発見された。仮想粒子の生成を効率化して計算の高速化を行うために、仮想粒子の生成パターンを事前に用意する方法を提案した。提案技術では、時間のかかる仮想粒子生成の準備を事前に行うことで流体の計算ステップ中の仮想粒子生成速度を大幅に向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は粒子法を局所領域に適用するための技術開発を主に行い、粒子法の計算速度の高速化を達成した。局所領域への粒子法の適用には、当初予定していた通り仮想粒子を用いて流れ場の情報を流体粒子へ伝達する方法を採用した。本提案手法を適用することによって、従来は計算領域全体に適用する必要のあった粒子法を計算領域の内、追跡が必要な一部分だけに限定することができるため計算速度の高速化を期待することができる。 研究を行っていく過程で、提案技術である部分粒子法では仮想粒子を生成するための計算コストが高いため計算速度の向上率が落ちてしまうという問題が発生した。この問題を解決するために、仮想粒子のパターンを事前に準備しておき、実際の流体運動の計算中に適切にパターンを当てはめる技術を開発した。この仮想粒子生成の技術開発によって計算速度が大幅に向上できたため最終的には予定通りの結果を得ることができた。 上記を含む研究成果に対して、平成29年度には3回の会議発表を行い、論文誌へも1回投稿することができた。また、発表済みのものに加えて会議発表と論文誌において、それぞれ1本ずつ投稿を行っており、現在査読中である。会議発表では賞も受賞しており順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度には、陰関数曲面と呼ばれる形状表現手法を粒子法による流体シミュレーションと融合する技術を開発して流体シミュレーションの高精度化を行う。計算領域の障害物を陰関数曲面で表現することによって、従来の粒子法の欠点であった障害物近傍で計算精度が落ちてしまう問題を解決する。また、平成29年度に開発した部分粒子法と陰関数曲面の融合も行い、障害物を含む領域でも高速、高精度な流体追跡ができるように技術開発を進める。 平成29年度と平成30年度の提案技術を琵琶湖の流れに適用することで、実用性に関しての評価検証も行う。琵琶湖の流れの専門家とも意見交換を行い、提案技術で「妥当な追跡精度を得られるか」、「実用上十分な計算速度の高速化を行えているか」という2つの観点で評価検証を行っていく。特に、格子法で得られた流れ場に対して部分粒子法がどの程度の精度で流体追跡を行えるかを明らかにしていく。粗い格子法による流体計算で得られた流れ場に対して、高解像度の部分粒子法を適用することで計算速度と計算精度両方を得ることができる。 提案手法で得られた実験結果に関してはインターネット上で結果を公開することを予定している。琵琶湖は環境や生物学の研究対象としても注目されており、その水は1400万人以上の人々の生活用水となっている背景がある。研究成果を大規模な計算対象である琵琶湖に適用した結果をインターネット上で公開することによって「学術面での貢献」と「社会面での貢献」を同時に期待できる。
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Research Products
(6 results)