2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J00574
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
廣部 紗也子 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | パターン形成 / 数値解析 / 破壊現象 / マルチフィジックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乾燥収縮および熱応力による亀裂の形成・進展の全過程の予測・制御手法を確立することを目的とする。具体的には、本研究で提案する拡散・変形・破壊の連成解析の妥当性を、実験との比較によって検証するとともに、解析手法の適用範囲を熱拡散および動的破壊にも広げ、「拡散現象による亀裂パターン形成」の解析手法としての一般化を図ることで、提案手法が亀裂の進展予測および制御のためのツールとなることを示す。同時に、「マルチフィジックスにおけるパターン形成」のメカニズムに関する理論的考察を行い、現象に関与する複数の物理の相互作用の具体的な姿を明らかにする。 本年度は、炭酸カルシウムを用いた乾燥破壊実験を行い、数値解析結果との比較・検証を行った。これにより、数値解析結果は乾燥亀裂が作るパターンの特徴を捉えられていることが確認された。さらに、網目状の乾燥亀裂によって形成されるセル面積を試料の層厚を変えて計測したところ、実験と解析におけるセル面積は各層厚において良好に一致した。以上により、これまでに得られている水分拡散・変形・破壊の連成解析結果の妥当性を示すことができた。このことから、本研究が提案する数値解析手法によって、乾燥亀裂の進展予測が可能であるといえる。 また、提案する解析手法の適用範囲を熱拡散および動的破壊にまで拡張し、「拡散現象による亀裂パターン形成」の解析手法としての一般化を図った。具体的には、熱拡散に伴う熱膨張/熱収縮の影響の解析コードへの組み込み、乾燥や冷却による非弾性ひずみの影響を伴う場における動的破壊の理論的枠組みの構築、および非弾性ひずみを有する場における動的破壊解析のコード作成を行った。さらに,急冷するガラスの中で直進・蛇行・分岐する亀裂、および非弾性ひずみの影響を含むガラスの動的破壊に関する基本的な解析を行い、提案した熱拡散および動的破壊への拡張の妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた、乾燥破壊実験の実施および実験との定量的な比較による水分拡散・変形・破壊の連成解析結果の妥当性の検証は、当初の計画通り行い、提案手法によって、乾燥亀裂の進展予測が可能であることを示すことができた。 さらに、平成30年度での完成を目標としていた、提案手法の熱拡散および動的破壊への拡張に関して、熱拡散に伴う熱膨張/熱収縮の影響の解析コードへの組み込み、乾燥や冷却による非弾性ひずみの影響を伴う場における動的破壊の理論的枠組みの構築、非弾性ひずみを有する場における動的破壊解析のコード作成を終了し、作成した解析コードの妥当性まで確認することができた。 以上の理由により「当初の計画以上に進展している」と自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点までの研究活動が順調に進展しているため、当初の計画通り、提案手法の熱拡散および動的破壊への拡張および、「マルチフィジックスにおけるパターン形成」の理論的枠組みの構築に取り組む。
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