2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of RBM-Based Cognitive Architecture Focused on the Hippocampus
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17J00580
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大澤 正彦 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 制限付きボルツマンマシン / 認知アーキテクチャ / 海馬 / 前頭前野 / ヒューマンエージェントインタラクション / テレプレゼンスロボット / 適応 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は主にマウスやラットに代表されるげっ歯類と呼ばれる哺乳類を参考に,海馬という脳領域を中心的に位置付けた認知アーキテクチャの開発を目指している.また作成したアーキテクチャは人とのインタラクションを前提としたロボットに導入することを想定しており,工学的応用性や認知的側面も考慮している.本年度は特に個別に進めてきた神経科学的側面,工学的側面,認知科学的側面からアプローチしている3つのアーキテクチャに関してそれぞれ進展があった. 神経科学的側面からは、げっ歯類レベルの全脳を参考にしたアーキテクチャの構築を目指している.これまでは神経科学知見を元に工学的なアーキテクチャを構築することで,大規模なアーキテクチャを構築する際に必要になる機械学習手法にあたりをつけて個別技術開発に取り組んできた背景があり,本年度も継続して個別モデルの精緻化に務めた.さらに本年度は前年度までのアーキテクチャからより神経科学的妥当性の高いモデルへと発展させたほか,神経科学的妥当性の高い認知アーキテクチャを構築するための方法論を提案した. 工学的側面からは,人に適応できる機械学習を導入したロボット行動生成アーキテクチャの構築を目指している.現在は半自律テレプレゼンスロボットを題材に取り組んでおり, 前頭前野を参考にして構築したモジュールの調停法を導入することによって,遠隔操作者に適応することができるシステムを提案した. 認知科学的側面からは,人とのインタラクションをする上で重要な,他者モデルと呼ばれる相手の心的モデルの推定を前提とした他者モデルアーキテクチャの構築に向けた初期的な検討を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画段階では,神経科学的な妥当性の高い単一の認知アーキテクチャを構築することを目指していたが,研究の進展により現在は3つのアーキテクチャを並列で構築している.これにより,神経科学的妥当性,実ロボットへの導入可能性,人とのインタラクションへの応用性を個別に深く検証している.さらに3つのアーキテクチャを改めて統合し最終的な単一のアーキテクチャを実現する構想が進んでいることから,本研究の計画段階よりもより価値の高いアーキテクチャ構築が進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は,前述した目的を達成するためにこれまで提案してきた機械学習手法やアーキテクチャの統合を目指す.特に,これまで主に3種類のアーキテクチャを検討・構築してきており,アーキテクチャの個別発展および統合が主題となる. 1つ目のアーキテクチャは,神経科学的側面を重視した,げっ歯類レベルの全脳を参考にしたアーキテクチャである.これまでは神経科学知見を元に工学的なアーキテクチャを構築することで,大規模なアーキテクチャを構築する際に必要になる機械学習手法にあたりをつけて個別技術開発に取り組んできた背景があり,これらの手法を2つ目・3つ目のアーキテクチャへ導入していく.さらに昨年度は神経科学的妥当性の高い認知アーキテクチャを構築するための方法論を提案しており,提案した方法論を利用してより広範な神経科学知見を有用な形で導入したアーキテクチャに発展させる. 2つ目のアーキテクチャは,工学的側面を重視したロボットの行動生成アーキテクチャである.1つ目のアーキテクチャ構築の際に作成した機械学習技術を人に適応するという場面で導入しており,現在は半自律テレプレゼンスロボットを題材に取り組んでいる.今後はより汎用的なロボットの行動生成アーキテクチャとして利用可能な発展をさせ,最終的に3つ目のアーキテクチャで扱う認知的な側面を重視した課題での応用を目指す. 3つ目のアーキテクチャは,認知科学的側面を重視した他者モデルアーキテクチャである.昨年度は他者モデルと呼ばれる相手の心的モデルを推定する機構を中心的に位置付けた認知科学的側面を重視したアーキテクチャの構想をしてきた.これまで2つ目のアーキテクチャで取り組んできた課題は表面的な人の振る舞いに直接的に適応することに取り組んできたが,より深く人の心的状態を推定した上で人に適応できるために,このアーキテクチャが重要となる.
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Research Products
(22 results)