2017 Fiscal Year Annual Research Report
An invisible threat to biodiversity: an assessment of the impacts of traffic noise on biodiversity distribution and its mitigation measures
Project/Area Number |
17J00646
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
先崎 理之 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 騒音汚染 / 多分類群 / 生物多様性 / 交通騒音 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生物多様性の脅威として交通騒音が認識されている。生物への騒音の影響を包括的に理解するためには、騒音がどの生活史特性・分類群の生物のどういった側面(種数・個体数)に影響するのかを解明する必要がある。さらに、有効な騒音対策を実施するためには、防音壁や低騒音舗装等の現実的な騒音対策が生物の保全にどの程度効果的なのかを解明する必要がある。そこで本研究の目的を以下の2点とする:1)騒音に脆弱な生活史特性・分類群を解明する、2)騒音の影響を地図化し、その緩和策を提案する。平成29年は、目的1に対し、6~9月に複数分類群(鳥類・バッタ類・トンボ類)を対象に、北海道勇払原野で騒音を長期間再生する野外実験を行った。そして各分類群のどの特徴(e.g.,種数・個体数)が騒音から影響を受けるのかを調べた。その結果、騒音は鳥類の種数や個体数に負の影響を及ぼすが、バッタ類とトンボの種数や個体数には影響しないか正の影響を及ぼすことが分かった。これらにより、騒音は複数の経路を介して生物に複雑な影響を与える結果、分類群に異なる影響を与えることを明らかにした。現在は一連の結果をまとめ、論文を執筆している。さらに、カエル類の音走性行動をモデルに、騒音への暴露経験が騒音の影響を緩和できるかどうかの追加的な研究を行った。その結果、カエル類は騒音に暴露された経験を経ても騒音の影響を完全に回避できないことを明らかにした。この成果をまとめた論文が英国生態学会のFunctional Ecology誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に目的1に対する野外調査を実施でき、十分なデータを取得できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の当初の目標は研究1のデータを取ることであった。これらは平成29年度に取得できたため、今年度は当初目的をさらに発展させた内容のデータ取得を目指す予定である。具体的には、サンプリングする分類群や対象を拡張し、騒音の長期間再生が食物網にどのように影響を及ぼすのかを明らかにする。
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Research Products
(6 results)