2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neurophysiological mechanisms underlying dynamic postural instability of an aged population
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17J00700
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 龍憲 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 姿勢制御 / 高齢者 / 変動 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
不安定姿勢におけるバランス保持能力が加齢により低下する神経生理学的機序の解明に向けて、本年度は、身体を前方へ傾斜させるリーチング動作を行う能力が加齢により低下する要因について検証した。対象は、健常若年者と健常高齢者であった。安静立位時、及び最大前方身体傾斜距離の35%及び75%で傾斜姿勢を保持する課題実施時に、両側の内側腓腹筋とヒラメ筋から筋電図信号を計測し、左右の内側腓腹筋間、左右のヒラメ筋間、一側の内側腓腹筋とヒラメ筋間においてコヒーレンス解析を行なった。具体的には、運動ニューロンプールの同期的活動を反映するdelta帯、皮質脊髄路の活動を反映するbeta帯の筋電図間コヒーレンスについて解析した。その結果、若年者では、最大前方身体傾斜距離の75%で身体傾斜姿勢を保持する際の両側の下腿三頭筋間のdelta帯コヒーレンスが、安静立位時及び35%で身体傾斜姿勢を保持する場合に比べて低かった。また、若年者では、最大前方身体傾斜距離の35%、75%で身体傾斜を保持すると、一側の下腿三頭筋間のbeta帯コヒーレンスが、安静立位時に比べて増大した。これらの結果は、若年者は、身体を支持基底面の端で保持する際に、両側の下腿三頭筋への同期的な神経入力を低下させ、左右それぞれの下腿三頭筋による皮質性制御を増大していることを示唆する。一方、高齢者の下腿三頭筋間のコヒーレンスにおいては、統計学的に有意な変化が見られなかった。すなわち、身体を前方に傾斜した姿勢を保持する際に生じる、両側下腿三頭筋、及び一側下腿三頭筋への神経入力の調整能力は、加齢により低下することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、不安定姿勢でのバランス保持能力が加齢により低下する神経生理学的機序の解明を試み、下腿三頭筋を協調的に制御する能力の低下が関連することが示された。また、これらの結果については、国際会議や国際的学術雑誌で発表を行った。これらの状況から、本研究課題は概ね計画通りに進展できており、引き続き計画に沿って進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度、平成30年度の研究より、不安定姿勢におけるバランス保持能力の加齢による低下には、delta帯とbeta帯の神経振動が関わることが明らかとなった。本年度は、これらの神経振動に加齢が与える影響をより詳細に検証することで、高齢者のバランス保持能力改善に有効な運動介入を開発するための基礎データを収集する予定である。
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Research Products
(11 results)