2017 Fiscal Year Annual Research Report
垂直自立型半導体ナノワイヤによる縦型ナノワイヤスピントランジスタの実現
Project/Area Number |
17J00775
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小平 竜太郎 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / ナノワイヤトランジスタ / スピントランジスタ / ナノスピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
垂直自立型半導体ナノワイヤ(NW)を用いた縦型スピンNWトランジスタの実現に向けて、主に「InAs NW一本単独での磁気輸送特性評価」と「垂直自立型Si NWの作製と選択形成技術の確立」に着手した。磁気輸送特製評価はドイツ・ギーセン大学の研究グループ、Si NWの選択成長技術の確立は国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)・深田直樹博士の研究グループに滞在し実施した。 磁気輸送特性評価に関しては、評価用素子作製プロセス、特にNW表面の自然酸化膜処理とリフトオフプロセスにおいて改善・最適化を行った。この素子を用いてドイツで実施した外部印加磁場依存性等の評価からInAs NWの磁気輸送モデルの解明にまで至り、縦型デバイス実現に向けた重要な知見を得た。これらの結果について国内学会で口頭発表を行い、さらに現在はドイツ研究グループと共に学術論文の作成に取り掛かっている。 Si NWの作製に関しては、まず成長基板上の酸化薄膜や成長触媒となるAu粒子の差異がNWの成長に与える影響を調査し、成長基板の最適条件とその作製技術を取得した。次にNIMSで実施したNWの成長条件依存性評価から、<111>方向に垂直配向するSi NWの作製条件等の重要な知見を得た。今後は成長条件の更なる最適化を行い、縦型デバイス実現に向けた高均一な垂直自立型Si NWの作製を目指す。 また、NWチャネル材料へのスピン偏極電流の注入に向け、北陸先端科学技術大学院大学・赤堀誠志准教授と連携し、CoFe/MgO/CoFe強磁性トンネル接合電極形成の検討も開始した。この他にも、縦型デバイス実現に向けて高均一なMnAs/InAsヘテロ接合NWの作製が必要になるため、屈曲したヘテロ接合NWに対して、屈曲構造の制御を目的に磁気特性および構造評価を行い、得られた成果について国内・国際学会でそれぞれ1件ずつ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直自立型半導体ナノワイヤ(NW)を用いた縦型スピンNWトランジスタの実現に向け、InAs NW一本単独での磁気輸送特性評価および垂直自立型Si NWの作製と選択形成技術の確立に関する実験を精力的に推進した。当初研究計画の通り、1次元メゾスコピック系InAs NWの磁気輸送特製評価に関しては、海外研究協力先であるドイツ・ギーセン大学の研究グループ、Si NWの選択成長技術の確立に関しては、国内研究協力先の国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)・深田直樹博士の研究グループに実際に研究滞在して、1次元磁気輸送特性の外部印加磁場角度依存性や、<111>方向に垂直配向するSi NWの作製条件取得等、縦型デバイス実現に向けた重要な知見を得た。また、NWチャネル材料へのスピン偏極電流注入に向け、国内研究協力先の北陸先端科学技術大学院大学・赤堀誠志准教授と連携し、CoFe/MgO/CoFe強磁性トンネル接合電極形成の検討も開始した。 目標達成のために必要な種々の要素技術に対して効果的に研究連携を行っており、期待通り研究が進展したと評価する。実際の縦型デバイス実現に向け、高均一な縦型NW構造をどのように制御して作製するか等、当初目標の達成にはまだまだ解決すべき課題が多いが、引き続き研究連携を精力的に推進することで、期間終了時には優れた研究成果が見込まれると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
縦型スピンナノワイヤ(NW)トランジスタの試作と動作実証に取り組む。まずは縦型デバイス実現に向けて、素子特性のばらつきの抑制や、NW上面への電極形成プロセスの確立のために、高均一な垂直自立型InAsおよびSi NWの選択形成を目指す。InAs NWに関しては、申請者がこれまでに実施した成長条件依存性評価や結晶構造評価等から得られた知見を基に、所望のNW構造を高い均一性で実現する。Si NWは、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)・深田直樹博士の研究グループとの連携を継続し、高均一な垂直自立型Si NWの選択形成技術を確立する。次に作製した高均一NWに対して、国内研究協力先の北陸先端科学技術大学院大学・赤堀誠志准教授との連携で作製したCoFe/MgO/CoFe強磁性トンネル接合電極を上面電極として適用し、縦型スピンNWトランジスタの試作と動作実証を行う。デバイスプロセスについては現所属でこれまでに開発した技術的ノウハウを一部応用し、得られた動作実証結果を踏まえて、チャネル材料やデバイス構造等の最適条件の取得を目指す。素子の動作実証と特性評価は引き続き海外研究協力先であるドイツ・ギーセン大学の研究グループとの連携で、実際にドイツに滞在して申請者自らが実施する。
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