2017 Fiscal Year Annual Research Report
分子ナノ界面を利用した高性能フレキシブル熱電変換材料の創成
Project/Area Number |
17J00903
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀家 匠平 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換 / カーボンナノチューブ / 有機強誘電体 / イオン液体 / 界面分極 / 印刷プロセス / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)の印刷成膜法の確立、CNT/有機強誘電体ナノ粒子/イオン液体コンポジットの作製と熱電特性評価、CNTの安定なn型ドーパント探索を行った。①成膜後に真空アニールにより容易かつ高効率に除去可能な界面活性剤の探索を行った。真空下熱重量測定と赤外分光測定を組み合わせることで、非イオン性界面活性剤が適していることを見出した。インクジェット法によってCNTを所望のサイズにて成膜可能にするとともに、界面活性剤とCNTの吸着エネルギーを定量化した。②再沈法によって有機強誘電体P(VDF/TrFE)のナノ粒子を形成可能とした。これをCNT分散水に添加、印刷成膜することで、双方の材料が良好に分散したコンポジットを作製した。続いてCNTの半導体極性をP(VDF/TrFE)の分極によって制御するため、コロナ放電によるポーリングを行った。しかしコロナ電圧の符号によらずコンポジットはp型を示し、CNTの半導体極性をn型に制御することができなかった。CNTの導電性が高いため、コンポジットにおいてP(VDF/TrFE)に十分な電界が印加されなかったことが原因と考えられる。しかしイオン液体を添加した場合、ゼーベック係数の有意な増加を確認した。③種々のビニル高分子をCNTにドーピングしてゼーベック係数を測定した結果、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルという極めて汎用性・安全性の高い高分子ドーピングによりCNTが大気安定なn型材料に変化することを見出した。また熱電モジュールを簡便・高速に作製するプロセスとして、光によるCNTのドープ・脱ドープ法を着想した。高分子ドープ後、紫外線により高分子の化学構造を部分的に変化させることで、p型およびn型CNTの接続を簡便に作製可能とした。本プロセスは原理的に3Dプリンタとの相性も良く将来的な熱電素子の簡便な製造に有効であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
印刷プロセスの確立、有機強誘電体ナノ粒子・イオン液体との複合といった構造形成、評価をほぼ完了したため。また、資源制約が低く、安全性の高い安定な電子供与体を偶然にも発見するとともに、CNT/ドナーの同一界面から簡便に双極型熱電モジュールを形成する手法を提案することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CNT/イオン液体コンポジットに対してP(VDF/TrFE)層を積層した電界効果型トランジスタ構造にて、ゼーベック係数の増加ならびにp型/n型制御を試みる。CNT/P(VDF/TrFE)積層素子において、ゼーベック係数および導電率のCNT伝導型(半導体、金属)依存性を確認する。
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Research Products
(14 results)