2017 Fiscal Year Annual Research Report
草原性蝶類における遺伝的多様性の減少メカニズム:標本DNAを用いた複数種比較解析
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17J00965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中濱 直之 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝的多様性 / 半自然草原 / 標本 / マイクロサテライト解析 / 草原面積 / 遺伝構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は長野県、群馬県、山梨県の半自然草原11か所について、対象4種の遺伝解析用サンプリング (翅の一部を切り取るのみで、捕殺せず) を実施するとともに、生息地における開花植物や植生の調査を実施した。さらに、遺伝解析に用いる標本についても各地の博物館や大学などの研究機関から収集している。各種のマイクロサテライトマーカーについては、全4種のマーカー開発を京都大学と共同で行った。 各草原におけるサンプリングの結果、ウラギンスジヒョウモンを除く3種 (ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、コヒョウモン) については十分なサンプリングを実施できた。また、いずれの生息地においてもチョウ類成虫の発生時期における開花植物と植生の調査が完了した。過去に採集された乾燥標本については収集に努めている。コヒョウモンについては解析に耐えうる標本数が集まりつつある。しかしながら、ウラギンヒョウモンやミドリヒョウモンをはじめとする普通種については収蔵点数が少ないことから難航している。今後はさらに多くの博物館及び愛好家に協力を依頼し、さらなる収集に努める予定である。 次世代シーケンサーのランを実施してマイクロサテライトマーカー候補の探索を行った結果、全4種についてそれぞれ約100座特定できた。特にミドリヒョウモンとコヒョウモンについては多くのサンプルが得られているため、マイクロサテライトマーカー候補をそれぞれ約40座発注した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の目標であった、新鮮なサンプルの収集とマイクロサテライトマーカー開発についておおむね予定通り実施できた。現在は、各種についてマイクロサテライトマーカーの選抜を実施している。標本サンプルの収集はいまだ十分な数が集まっていないものの、当初より時間がかかると予想されていたので、複数年かけて収集する予定であった。そのため、当初の研究実施計画に即して順調に研究が進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発したマイクロサテライトマーカー候補から使用可能なマイクロサテライトマーカーを選抜し、各種のマイクロサテライトマーカーが開発され次第、それぞれを論文として論文を執筆・出版する。さらに、標本サンプルのほか、新鮮なサンプルの一部についても継続して収集を実施する。また、十分な数の標本の収集ができなかった場合に備え、少数の標本でも遺伝的多様性・構造を復元する遺伝解析の代替手法を検討する予定である。
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Research Products
(12 results)