2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J01075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田森 宥好 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 極小表現 / 半単純Lie群 / 不分岐L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下で説明するように,(1)極小表現の構成(2)A型の群に対する極小表現の類似の分類(3)不分岐L関数の表示について研究した. (1)昨年度の研究の応用として,Hermitianな実単純リー群の極小表現を,ある放物型部分群からの誘導表現の間の絡微分作用素の核空間として実現した.この構成では極大とは限らない放物型部分群からの誘導を考えることで,Jordan代数の共形変換群として得られないHermitianな実単純リー群の極小表現に対しても適用できるという特徴がある. (2)GがA型の連結実単純リー群の時に,付随する(g,K)-加群の零化イデアルの次数化が極小冪零軌道の定めるイデアルとなるような既約認容表現を構成し,分類した.GがA型でない連結実単純リー群の時には同様の両側イデアルは一つしか存在せず,そのイデアルを零化イデアルに持つような既約認容表現は極小表現と呼ばれる.この意味で,以上で述べた分類は極小表現の分類のA型バージョンと見なせる.極小表現の分類では現れなかった困難として,イデアルが複素数体でパラメトライズされており,群に応じてどのイデアルが群の表現から来ているものかを判定しなければならない点や,実際に条件を満たす表現を構成する必要がある点が挙げられる. (3)非アルキメデス局所体上splitな簡約群の不分岐L関数を考える.与えられた不分岐表現に対して,それを部分商に持つような主系列表現を固定する.さらに,与えられた双対群の有限次元表現の優正ウェイトに対して,あるコンパクト開部分群及びその両側剰余類を対応させる.このとき,両側剰余類によって定まる主系列表現へのHecke作用は,コンパクト開部分群で固定される有限次元部分空間への作用を定める.大井雅雄氏,坂本龍太郎氏との議論によって,この時不分岐L関数が上記のHecke作用の固有多項式の積の逆元で書けることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来の研究計画の目標の大きな部分であった「極小表現の放物型誘導表現間の絡微分作用素の核空間としての構成」を全ての極小表現に対して行うことが出来た. さらに,A型の極小表現の類似の分類や不分岐L関数の新しい表示という,研究計画作成時には予期していなかった結果を得ることができ,研究は計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
極小表現の分岐則への応用を視野に,構成した解空間モデルにおけるユニタリ内積の表示について取り組む. さらに極小表現の構成に用いた絡微分作用素を旗多様体の幾何的な構造を用いた特徴付けができないか探ることで,表現の構成を一般の幾何的な設定で考えられないかを考察する.
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