2017 Fiscal Year Annual Research Report
精子の受精能力を反映する、定量的な形の指標を探索する
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17J01156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増子 大輔 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 生殖工学 / 精子 / 形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊のカップルは年々増大する傾向にあり(出生動向基本調査)、現在では6組に1組のカップルが不妊症の検査、もしくは治療を受けている。不妊の原因の約半数は男性側の原因、つまり精子に問題を抱えている。精子の良し悪しは数、形、運動で観察されてきた。精子形状は目によって判断され、正常、異常に大別されてきた。しかしながら、近年、正常な精子であっても頭部形状にばらつきがあることが示されている。正常な精子の中の良好な精子形態についての適切な定量的指標は未だ明らかではない。そこで本研究では、正常マウス精子の中からより良い精子を選ぶ指標を同定するために、楕円フーリエ記述子を用いた定量的多変量解析と主成分分析とを組み合わせて、正常なマウス精子の核の輪郭を比較した。精子は受精能力が異なることが示されている異なる系統(BDF1,B6N)および採取部位(射出,透明帯通過)から得た。その結果、受精率の低いB6N系統よりも受精率が高いことが知られているBDF1の縦横(短軸/長軸)比がが5.7%減少していた(細かった)こと、さらに透明帯通過精子の縦横比は、射精前に精巣上体から単離された精子より一貫して5.4%小さい(細い)頭部を有していた。縦横比のみに差がみられたことから、単一の形態学的指標であることが示唆される。縦横比は人間の精子の形も特徴付けるため、この指標は男性の中から正常な精子を比較するのに適用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精子形状の定量システムを作成し、マウス精子の比較を行い、良い精子の形の指標を得ることができたため、現在までの計画はすでに達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
[精子のばらつきが生まれる場所を調べる]精巣上体頭部、体部、尾部の精子の回収を行 い、精子成熟過程の形の変化は問題なく測定できることは確認済みである。精子形成過程 においても同様に測定を行い、どの時点で受精に適した精子を判別できるか明らかにす る。
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Research Products
(1 results)