2018 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー保存性の高い高精度粒子法の開発及び改良型気液二相流モデルの構築
Project/Area Number |
17J01360
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 裕真 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | MPS法 / 高精度粒子法 / 気液混相流 / エネルギー保存性 / 数値シミュレーション / 数値波動水槽 / 境界条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では,気体との相互作用を高精度に取り扱う計算モデルの構築およびその検証を目標としていたが,昨年度一部前倒しして研究を進めており,開発された高精度気液界面モデルにより得られた研究成果は国際学術誌に投稿・掲載された. 研究を進める中で,粒子法型気液二相流解析における気液界面の精緻な取り扱いの重要性が再確認された.気液界面では,その急峻な密度勾配から,液相側の微小な液相境界粒子の圧力擾乱が界面の気液粒子を著しく加速させることにより計算の不安定化に繋がる.そのため,気液界面における圧力擾乱の抑制が極めて重要となる.本年度では,粒子再配置スキームの一種であるOptimized Particle Shifting(OPS)法を気液界面に適用した気液二相流モデルの構築に取り組んだ.OPS法は粒子法界隈にて近年広く活用されているParticle Shifting法を,修正行列の導入を通した自由表面法線ベクトルの高精度評価による自由表面粒子再配置の高度化により,チューニングパラメータなしに自由表面流に適用できるよう修正した手法である.本計算モデルでは,OPS法を気相液相の二段階計算アルゴリズムを通して気液境界に適用できるように修正し,粒子法の気液混相流解析の高精度化を実施した.ベンチマークテストを通した検証により,本計算手法はエネルギー保存性をはじめとした計算精度の改善に効果的であることが示された.得られた研究成果は国際学術誌に投稿,掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄にて詳述した通り,研究実施計画案に記載した課題に対する解決案を着実に進めている.提案した計算モデルにより,エネルギー保存性の満たされた気液二相流解析の実現が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
高精度化手法の導入により現在の提案モデルは高い計算精度を有するものの,砕波をはじめとした激しい自由表面変動や多数の飛沫粒子を伴う現象の高精度気液混相流数値シミュレーションの実現には,現モデルのさらなる改良によるロバスト性の向上が望まれる.現在は,界面付近におけるモデルの圧力計算の取り扱いに関する安定化に取り組んでいる.また,昨年度課題として浮上したエネルギー保存性の向上のための壁面境界の改良についても引き続き検証を進めていく.
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